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沖縄県の離島架橋の整備状況とコンクリート構造物の耐久設計・品質確保 に関する取り組み

琉球大学工学部
環境建設工学科(土木コース)
准教授 

富山 潤

公開日:2015.06.16

1.沖縄の自然環境

1.1 塩害、ASRなどの劣化現象に対する環境作用
 沖縄県は、日本唯一の亜熱帯海洋性気候に属し、年間を通して高温多湿な環境である。図-1に示すクライモグラフは東京と那覇の月平均気温と月平均湿度を比較したものである。この図より、沖縄県は鋼材の腐食しやすい気温20℃以上、湿度70%の環境にある月が東京で4ヵ月に対して2倍の8カ月ほどあるのがわかる。また、四方を海に囲まれていることから、季節風、台風などの影響により海から内陸に運ばれる塩分(飛来塩分)が多く、気候および地理的条件すべてにおいて、他府県と比べても外来塩分や外来アルカリの影響を受けやすい非常に厳しい自然環境にある。
 塩害やアルカリ骨材反応などコンクリートの劣化現象のほとんどが化学反応である。このことから、沖縄県の高外来塩分・高外来アルカリ環境および高温多湿という自然環境化では化学反応の開始および速度が速く、社会基盤の整備にあたっては、構造物の高耐久化や合理的かつ適切な維持管理に対する取り組みが重要課題の一つである。

図-1 クライモグラフ

2.沖縄の離島架橋状況

2.1 離島架橋整備の必要性および整備状況
 沖縄県は、東西約1,000㌔、南北約400㌔に及ぶ大きな海域に160の島々が点在する島嶼環境であり、沖縄本島を除く39の有人離島が存在し、それらの島々には、県人口の約9%を占める約13万人の人々が生活している。また、日本唯一の亜熱帯海洋性気候という個性豊かな自然環境や文化、歴史遺産など異国を感じさせる地域であり、年間を通して多くの観光客が訪れる。
 このように沖縄県では、離島住民の交通・生活コストの低減、生活環境基盤の整備及び教育・医療・福祉における住民サービスの向上、交通基盤の整備と交通ネットワークの充実の強化が必要であり、本島と離島、離島と離島を結ぶ離島架橋の整備が必須である。また、離島架橋の整備は、観光客1、000万人を目指すためにも必要であり、沖縄21世紀ビジョン基本計画1)において、地理的特性に応じた道路整備の推進に基づき行われている。
 図-2に沖縄県で整備されている21(県管理15橋梁)の離島架橋の一覧と位置図2)を示す。特に平成27年1月31日に供用が開始された伊良部大橋は、耐久性設計として現在の先端技術の粋を結集したと言っても過言ではないほどの高耐久化が図られている。第3章にその概要を述べる。

図-2 離島架橋整備状況2)

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