東日本高速道路は、今年度(平成27年度から)、管理下の高速道路の大規模更新・大規模修繕事業をスタートさせます。具体的には約8,700億円の事業費を投入する予定で、その多くを橋梁が占めます。その具体的な内容について、更新・修繕の技術的詳細について本間淳史本社構造技術課長に執筆していただきました。(井手迫瑞樹)
約8,700億円の事業費を投入
桁は1㌔、床版は52㌔を更新
1.更新事業に関する経緯
東・中・西日本高速道路株式会社(以下、NEXCO3会社)は、平成27年3月25日付で国土交通大臣から更新事業の実施について、道路整備特別措置法に基づく許可を受けました。いわゆる高速道路の大規模更新および大規模修繕事業が平成27年度からスタートすることとなります。ここで、大規模更新とは構造物を再施工することにより機能維持と性能強化を図る行為で、大規模修繕とは補修・補強による性能の回復および予防保全を含めて構造物の長寿命化を図る行為をいいます(表-1)。
現在、NEXCO3会社が管理する延長約9,000㌔に達する高速道路は、供用から50年を経過した名神高速道路(栗東~尼崎)を筆頭に、供用から30年以上を経過した延長が約4割(約3,700㌔)を占めており、老朽化の進展とともに厳しい使用環境による変状の増加や新たな変状の発生などが顕在化してきています。このため、NEXCO3会社は高速道路ネットワークを将来にわたり持続可能となるよう的確な維持管理・更新を行うため、『高速道路資産の長期保全及び更新のあり方に関する技術検討委員会』を平成24年11月に設置して、高速道路資産の長期保全及び更新のあり方の基本的な方策について検討を行い、平成26年1月に委員会提言を踏まえて大規模更新・修繕計画の概要について公表しました1)。委員会の概要および審議内容については、弊社のホームページ(http://www.e-nexco.co.jp/pressroom/committee/)で公表していますので参照下さい。
その後、これらの計画の精査を行い、高速道路の更新計画として平成27年1月に国土交通省社会資本整備審議会道路分科会国土幹線道路部会へ説明を行い、今回の許可に至ったものです。表-2は更新事業の概要を示したもので、橋梁のほかに土構造物やトンネルの修繕計画も含まれています。高速道路の延長(上下線別および連絡等施設を含んだ延べ延長)が約20,000㌔なので、全体の約1割が更新事業の対象となっています。
更新事業費の総額は約3兆円に及んでおり、このうちNEXCO東日本が管理する高速道路では、大規模更新事業が約3,900億円、大規模修繕事業が約4,900億円で、合計で約8,700億円の事業を計画しています2)。
表-1 大規模更新・大規模修繕・通常修繕の定義
表-2 大規模更新・修繕計画の概要(NEXCO東日本)
※1上下線別及び連絡等施設を含んだ延べ延長
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