⑤阪急阪神HD角和夫会長との面談
7月6日(木)9時過ぎ、阪急電鉄本社ビルにおいて阪急阪神HDの角和夫会長との面談の機会間を頂いた。同姓同名であられる角会長の事は存じ上げてはいるものの世界が違うのでお会いする機会がなかった。2016年春先、当時の阪神高速道路㈱の山澤社長にお会いした際、「角さん、同姓同名の友人がいますよ」と言われ、笑ったのを覚えている。
今回は、関西財界の方のお計らいでお会いすることが出来た次第である。話の中で興味深かったのは、湾岸西伸部の事業進捗の遅れについて気にされておられる点であった。また、関西財界では国際港湾と国際空港、それぞれを結ぶ高速道路という陸海空トータルでの国際物流ネットワークが構築されなければ関西の産業競争力が強化できないと考えている、ということであった。関西の高速道路のミッシングリンクの解消として、①新名神高速道路、②淀川左岸線延伸部(2期)、③大阪湾岸道路西伸部、④名神湾岸連絡線、の早期完成が悲願である、とも。
私からは、湾岸西伸部の件とHOT JET工法(温水洗浄技術)についてご紹介した。以前どこかのテレビで放送されていた阪急梅田駅ホームが「日本一(か関西一)綺麗」という評価を受けています、と。終電から始発までの限られた数時間でピカピカの状態に仕上げているのである。こういう駅のホームや車両の洗浄に亜臨界水を用いた洗剤を一切使わない[HOT JET工法]は最適ですと。伊丹市の天神川堤防決壊時に清掃作業で活躍した写真も併せて紹介した(前回のジャーナル連載記事で紹介)。
(2)「社会インフラを守る」-無機形塗料の現状と将来-
7月7日に開催された講演会での発表内容を中心に記載する。以下にレジュメと重要なポイント(下表)を紹介する。
①塗料に関するシーズとニーズ(都市高速の事例)
阪神高速技術㈱時代、有機系塗料メーカーに辟易していたこともあり、塗料に関する共同研究相手を探していた。そこで作成したのが塗料に求める「ニーズ」である。以下に策定した「ニーズ」と共同研究相手と決定した㈱セラアンドアース側の「シーズ」を示す。
塗料に関するシーズとニーズ
②ニーズを満足する無機形塗料と検証
㈱セラアンドアースが保有する無機形塗装仕様と鋼道路橋防食便覧で示す新設仕様、塗替仕様等の性能検証を実施した。以下にその概要を示す。
塗替仕様等の性能検証を実施
③無機形塗料の現状
無機形塗料については、1990年代後半、本四公団早島IC近くの六間川橋の塗替塗装や神戸淡路鳴門道の淡路島内の大日川橋の塗替塗装で試験的に採用され、現時点においてもチョーキングなどは一切見られない。その後、阪神高速道路、首都高速道路、地方自治体、鉄道会社等において無機形塗料は施工されてきた。無機質コーティング協会が10年前に開発目標として掲げていた各項目について現時点では概ね達成できたと評価している。この中でも大きな柱である「塗料の規格化、基準化」について目処は立った。塗料は好き好きである。何も挑戦・トライしないのであれば有機で済ませればよい。より高耐久なものを目指すならば無機である。汗をかいて仕事をし、将来楽をするならば無機である。
目標と現状の達成状況
④無機形塗料の今後の目標
大きな目標としては、以下に示す5項目である。共同研究成果取りまとめと公表、塗料の更なる性能向上、塗料規格・基準のバージョンアップ、新規材料の普及促進、多機能塗料の開発(RDCの活用)、である。
今後の目標
(3)最後に
日本では各地で大水害が発生している。梅雨とか、暑さが関係しているのかは分からないが静岡では架設工事中の鋼製桁が落下するという大事故が発生した。時を同じくしてタイでも工事中のトラス桁がクレーンの転倒に伴い倒壊し、大惨事となった。こういう事故は連鎖反応がある。国交省が通達を出したが同様な工事は至る所で行われている。特に気を付けて欲しい。
土木構造物(建築も)の長寿命化には塗装が一番貢献する。この塗装に無機形塗料を使うのが最善策と私は考える。近い将来、PFAS規制によりふっ素樹脂塗料が使用できなくなる可能性がある。今から十分な無機形塗料の備えが必要と考えるのは私だけだろうか。(次回は2023年8月中旬に掲載予定です)