2.施工スペースがないため分割して運んだプレキャストPC桁2)3)
桁は、東京駅近くで用地的に許される個所は場所打ちで施工されましたが、駅から離れるにつれ用地がないため、工場でブロックにて製作し現地で長手方向に接合して、クレーンにてU型の主桁1本ごとに架設しました。架設した4本の主桁を直角方向に連結しています(図-3)。
図-3 プレキャストPC桁
このプレキャスト部材をPC専業者に工場にて製作、運搬してもらわないといけないので、PC専業者4社の技術者に集まってもらい、製作ができるか相談しました。この図面を見て、形状が複雑なこと、部材が薄いことなどから4社の技術者からできないといって、製作を断わられてしまいました。
いずれにしても造ってもらわないといけないので、当時の日本鋼弦(株)の中条さんに再度直接相談しました。中条さんができるといわないと誰もできるといわないだろうと思い、何が問題で、心配なのか具体的に聞きながら、そこを解決するように、材料や構造の工夫をすることにしました。
最終的には、専業者で製作運搬を引き受けてもらいました。運搬の重量制限を考え、部材厚さを薄くしたことや、形状が複雑なことから製作が難しく、また運搬も大変なことから引き受けるのを躊躇したのです。薄い部材が脱型時や運搬時にかけたりすることも心配なので、繊維を混ぜたコンクリートを使うなどの対策をしています。
写真-4は工場にてU型のプレキャストの桁を製作している状況です。
写真-4 プレキャストPC桁の製作
写真-5はプレキャストの主桁を1本ずつ、夜間にクレーンにて架設している状況です。
写真-5 夜間でのPC桁の架設
京浜東北線や、山手線などの線路を新たな位置に移動させるため、中央線は一時的に丸の内側に寄せておくことが必要です。最後には中央線は計画位置に戻ることになります。そのために、戻った時点で外観が連続するように、戻る量に応じて、桁を不連続に飛び出した形状で一時的に据え付けました(写真-6)。桁が戻ると、軌道は本来の位置へと変えなくてはならないので、完成時にレール締結位置を変えられるように事前に対応しておきました。
写真-6 一時的に据え付けた桁の状態での中央線の運転