2.1 脱型後の追加養生の効果
脱型後の追加養生の異なる構造物において実施した表層透気試験の結果を図-2に示します。C橋下部工は脱型後に追加養生を実施していないケース、D橋下部工は脱型後にポリエチレンシート(気泡緩衝材)により保温・保湿養生を実施したケース、E橋下部工は脱型後に乾燥収縮低減型の養生剤(塗布量:約200g/m2)を塗布したケースです。この内、D橋下部工とE橋下部工は、施工者、生コン工場、コンクリートの仕様が同じ構造物です。
図-2 表層目視評価の結果(C橋下部工、D橋下部工、E橋下部工)
これらの結果より、脱型後に追加養生を実施していないC橋下部工では、面的な微細ひび割れの目視評価点が2点台であり、表層透気係数も10×10-16m2を超える部位も認められました。一方、脱型後にシート養生を実施したD橋下部工では、面的な微細ひび割れの評価点は多くの部位で3点であり、表層透気係数も0.1×10-16m2程度でした。これは、脱型後に速やかにシート養生を開始することによって保水や保温効果が期待できコンクリートの緻密性が向上したものと推察されます。また、追加養生として養生剤を塗布したE橋下部工の表層透気係数は、0.3~12×10-16m2の範囲にあり、シート養生と比較して面的なバラツキも多い結果となりました。このことから、脱型後の追加養生として養生剤を使用する場合には、施工や構造物の設置環境等を考慮して適切な材料選定を行うとともに、均質な施工が実現できるよう配慮することが望まれます。
2.2 透水型枠の効果検証
透水型枠を使用した構造物(F橋下部工)の表層透気試験および表面吸水試験の結果を図-3に示します。使用した透水型枠は布製の透水シートを型枠面に敷設するタイプであり、コンクリート表面の余剰水の排出や表面気泡の低減により表層品質の改善を期待する工法です。また、図中には比較として透水型枠を使用していない構造物(G橋下部工)の結果も記載しました。
両構造物は同一のレミコン工場から出荷されたものです。F橋の橋脚は小判型の断面形状であり曲線部の試験結果を白抜きで示しました。同橋梁は施工段階でブリーディングが多く発生していること、透水型枠に加えて1ヶ月程度のシート養生も実施していることが特徴です。橋脚の直線部における表層透気係数は、0.1×10-16m2未満であり、0.001×10-16m2の部位も確認されました。しかし、曲線部(白抜き)の表層透気係数は、直線部と比較して大きく0.1×10-16m2を超える部位もありました。これは、小判型断面の曲線部にブリーディングが集まりやすいことから、ブリーディングの影響によるものと考えられます。F橋下部工(直線部)の表面吸水速度は0.1ml/mm2/sec未満であり、ほとんど吸水されない部位も認められました。また、一般型枠を使用し、脱型後に追加養生を行っていないG橋下部工の表層透気係数は0.1~10×10-16m2程度、表面吸水速度は0.2~0.6ml/mm2/sec程度でした。
両構造物は同一のレミコン工場から出荷されたものです。F橋の橋脚は小判型の断面形状であり曲線部の試験結果を白抜きで示しました。同橋梁は施工段階でブリーディングが多く発生していること、透水型枠に加えて一カ月程度のシート養生も実施していることが特徴です。橋脚の直線部における表層透気係数は、0。1×10-16m2未満であり、0.001×10-16m2の部位も確認されました。しかし、曲線部(白抜き)の表層透気係数は、直線部と比較して大きく0.1×10-16m2を超える部位もありました。
これは、小判型断面の曲線部にブリーディングが集まりやすいことから、ブリーディングの影響によるものと考えられます。F橋下部工(直線部)の表面吸水速度は0.1ml/mm2/sec未満であり、ほとんど吸水されない部位も認められました。また、一般型枠を使用し、脱型後に追加養生を行っていないG橋下部工の表層透気係数は0.1~10×10-16m2程度、表面吸水速度は0.2~0.6ml/mm2/sec程度でした。
図-4は同一構造物において透水型枠を使用した部位と一般型枠を使用した部位で実施した表層透気試験の結果です。測定位置の表面含水率は4.8~5.5%の範囲でした。これらの構造物も型枠存置期間の延長や湿潤養生による追加養生を行っています。
この結果より、比較的十分な養生を実施した構造物では、透水型枠および一般型枠の違いによる表層透気係数の大きな差は確認されませんでした。このことから一般型枠であっても追加養生を十分に行うことによって表層部コンクリートの緻密性の向上が期待できることが分かります。また、表面吸水試験については、透水型枠を使用した部位では、ほとんど吸水は生じませんでしたが、一般型枠を使用した部位では若干の吸水が確認され、型枠の違いによる傾向が認められました。これは、表層透気試験と表面吸水試験で対象としている移動物質が異なることに起因する試験特性によるものと推察されます。
これらのことから透水型枠はブリーディングの多いコンクリートやW/Cが大きいコンクリートでより効果を発揮する可能性が示唆されますが、今後さらに検証が必要と考えています。