-分かっていますか?何が問題なのか- 第51回 新たな構造、形式にチャレンジするには ‐過去に学び、現代に活かすポイント‐
これでよいのか専門技術者
(一般財団法人)首都高速道路技術センター
上席研究員
髙木 千太郎 氏
はじめに
連載の話題提供には全く関係ないが、まずは私が連載方式を変更した経過と言い訳を述べておく。嫌がる当連載の編集責任者・井手迫氏を時間はかかったが5月末に何とか説得し、毎月連載の『これでよいのか 専門技術者』を私の我が儘で、3カ月に一度の掲載に変えてもらうことになった。私が毎月から、3カ月に1度の連載を望んだ真意は、自身が執筆することに疲れた事もあるが、連載数が多くなるに従って、何となく読者の顔が見えなく、生の声が届かなくなったような気がしたからでもある。そこで、連載時期を延ばす事で少し冷却期間を作り、当連載における自分の必要性などを、もう一度考えてみようと思ったのが大きな理由である。私の結論としては、「まあ、落胆せずに、焦らずのんびり行きましょうよ!我が連載に対して反響はそれなりにあるのだから」とあいなった。
今回の連載サイクル変更で、自分自身の話題提供に関して考える時間が長くなった事によって、以前と何かが変わったのかと考え読み返してみたが、大きく改善出来ていないような気がする。その理由は、毎月末の原稿締め切りが無くなり、少し自分自身の時間を持てるようになったので、私自身吟味した話題を提供する方向に改良ができるはずと考えたからだ。このような思考過程を経て、私は意気込んで本文を書き出してはみたものの、大した代わり映えの無い内容でどこが変わったの?と読者の皆さんから言われるのではないかと、執筆中に一抹の不安がよぎっているのが正に今である。練りに練った質の高い話題提供を期待している読者の皆様には期待外れかもしれないので、もしそうであれば、申し訳なく、自己能力の底の浅さを露呈したなと思われても仕方がない。
しかし、私が連載を3か月に一度と策略をめぐらした後の7月に、嬉しいこともあった。それは、若手行政技術者として連載を続けている宮川洋一氏からの激励? 感謝? の言葉を宮川氏連載の紙面を割いて述べて頂いた事だ。私の連載を読み、私の考えを理解している人が少なからずいた事に、特別の感謝の念と自らも今までとは違った見方で前向きに、話題提供しなければ、との熱き想いが沸いてきた。宮川さんには、私が執筆した難解な文章、回りくどい説明文をよく何度も読んでいただいたと感謝している。私への数少ない応援歌かもと目頭が熱くなった。そこで、本ネットの連載広場(私が勝手に広場と思っているのかも)とは? と自問自答してみた。連載広場における、私の連載コーナー読者への願いは以下である。この場は、各執筆者が提供した話題について、読者同士が議論の場を作り、話題提供への反論や賛同の投稿を頂いたりしながら、その話題から種々な発想が生まれ、大きな輪となるのが理想形であると考えた。その結果、執筆している私も成長し、相乗効果で読者も見識が広がり、最終到達点として社会基盤整備、維持管理等に役立つ存在となる事に成るであろうと、私は勝手に自己満足している。私の連載コーナーに関する考え方、到達点について、読者の皆さん如何お考えですか?先に述べた宮川氏のように、私の考え方に対するご意見を数多く貰いたいと、私は願っている。それは、私を含めた他の連載者への批判でも反論でもよいと考える。前置きはこのくらいにして、本題に移るとする。私は3か月ぶりに話題提供するからには、と自らの尻を叩き、読者の多くが納得する内容?? 提供をと頑張った成果をオープンにしよう。
今回は自分自身が原稿締切りに追いまくられずに、のんびり構え、新鮮で注目度の高い話題提供のアイディアは無いものかと考えたが、逆に私自身の考える歯車も錆び付いたようである。泣き言ばかりでは申し訳ないので少し視点を変えて、技術者に必要不可欠な『アイディア』に関する話をして、自らの頭の歯車を回転させよう。
光栄なことに私は、3つの大学で講義を続けているが、何時も毎期末の講義時に必ず話をする事がある。それは『広中平祐』先生が話された“独創のコツ”(アイディアを活かすには)とはである。私自身がこの名言を完全に実行している訳ではないが、常日頃頭の片隅に置き続けている事は事実だ。特に、行政で仕事をしていた時代には、保守的に成りがちな組織に新たな風を入れるべく、的確なアイディア創りやそのアイディアを上司に向け数多く進言していた。その時あるのは、自ら考えた種々なアイディアとそのアイディアを持って打って出ていく勇気、博打根性であった。それでは、それに関連した私が気に入っている『広中平祐』氏の名言録をいくつか紹介し、その後持論を展開する本文に移るとしよう。