道路構造物ジャーナルNET

㊺協議のあり方 プログラムの使い方 

民間と行政、双方の間から見えるもの

富山市
建設技術統括監

植野 芳彦

公開日:2019.08.16

3.今後どうするのか?

 今年度の「植野塾」を7月24日から開始した。このジャーナルでもそうだが、技術的な細かい話は、行わないつもりである。事例紹介や難しい話は外部の方にやっていただくことにしている。わたしは、精神論を話し、なるべく皆さんに、大過なく仕事を全うするための基本を話している。

 ここで、「仕事」であるが、「作業」に追われてしまっている者が多い。これは自分を見失っているからである。第一楽しくないであろう。

今後の、地方公共団体の建設技術の在り方は、①効率的な事業執行の「しくみ」への改革②技術職員の技術力、インハウスエンジニアとしてのマネジメント能力の育成が重要と考える。

 国も地方も、「財政難」と言われて久しく、公共事業は抑制されてきた。また、今後の人口減少、成熟化社会の到来に伴い税収の減少が予測される。さらに、高度成長期に建造された公共施設の維持管理量の増加や昨今の自然災害がリスクとして襲来する。このような社会情勢の中では、コンンパクトシティの思想にもあるような、「選択と集中」の考え方が重要であり、それに伴う効率的な事業執行の「しくみ」への改革が重要ある。

 地方公共団体における建設技術の使命は、住民が安心・安全に生活でき、地元産業が健全な生産活動を行うことができる社会を身近な立場で構築し、それを運営管理していくことである。社会資本は、自らと次世代のために、長期的な視点を持って計画的に取り組むべきもので、わが国の脆弱な国土と災害対策に要する投資を前提リスクとし、効率的・効果的かつタイムリーに提供することが要求される。

 この、トレードオフ的、難問に対抗するためには、「しくみ」を大幅に再考し、コストの縮減と事業執行のスピードアップの戦略が必要である。たとえば、「(資金面を含めた)民間の活用」と、「(公共事業)生産システムの合理化」である。NPO等の活用や民間資金の導入、活用の検討。また構造物そのものに関しては「大局的な設計・施工・管理の合理化」が必要である。これの判断が下せる地方公共団体の技術職員の使命は重要であり、インハウスエンジニアの人材育成が必須である。富山市の建設技術全体のプロジェクトマネジャーとしての的確な「しくみ」つくりと、インハウスの技術者教育とが必要となってくる。自治体にはこの2点が必要であると感じている。これが出来れば、おそらくその自治体は、持続可能となってくる。これらの取り組みに、組織の枠を超えて、是非お役にたちたいと考えるのだが、ここ富山での取り組みもそろそろ終盤を迎え、何処までできたのか疑問ではある。そもそも、どうも早すぎた感が私の中にある。富山での悪かった点は3月以降に、反省と共にここに載せていただき、皆さんと考えたいと思っている。

4.まとめ

 失敗をしたらどうすべきなのか?様々な方々が「危機管理」として、扱っている。まずは、謝罪でしょう。謝罪から始まるのだと思うが、最近どうも謝罪が出来ない方々が多い。自分でキッチリ反省しないと、また同じ事を繰り返す。言い訳やごまかしに長けても、その場はしのげても、解決には至らない。事実は残るので、技術者としては、是正しなければならない。そして、誠実な対応だと思う。ここでは正攻法でやるしかない。

 今後取り組みたいのは、「民間の積極活用」「包括管理」「PPP/PFIの維持管理への導入」と「モニタリングシステム」「補修材料・補修工法の評価」等である。この辺も、終わりなき戦いとなることが予想されるので、場所を変えても力の続く限り継続したい。それにもまして、インフラメンテナンスに対する、理解者を増やすことも重要である。

 また、私の取り組みに、様々な御意見をいただくのだが、ありがたいのではあるが、私は私のスタイルでやっていて、自分でやりながら、周りの状況確認や、周囲をテストして来た結果、今こうしているのである。本来はモット、スピードも必要なのだが、緩やかにやっている。これも周辺状況による物、あきらめた物も多々有る。そして自分自身に対する、情けなさや歯がゆさが有る。最近、評論家が多く、それがもてはやされるので、実務家としては、気に入らないところである。机上論で済めば誰も苦労しない。実行しなければ意味がない。


大阪大学とのシート型センンサー共同研究

 残り8ヶ月・・・・!!
(次回は2019年9月中旬に掲載予定です)

ご広告掲載についてはこちら

お問い合わせ
当サイト・弊社に関するお問い合わせ、
また更新メール登録会員のお申し込みも下記フォームよりお願い致します
お問い合わせフォーム