道路構造物ジャーナルNET

-分かっていますか?何が問題なのか- ⑰奇妙で可哀そうな道路橋の話 その2

これでよいのか専門技術者

(一般財団法人)首都高速道路技術センター 
上席研究員 

髙木 千太郎

公開日:2016.09.01

はじめに

 2016年(平成28年)8月5日(金曜日)オリンピック競技会リオデジャネイロ大会は、17日間の行程を終え、8月21日(日曜日)に次回開催都市東京の初の女性知事である着物姿の映える小池百合子氏にオリンピック旗が渡った。引き続き9月7日(水曜日)からは、第15回夏季パラリンピックが開催される。

 しかし、不思議なものである。リオオリンピック開催前には、オリンピック会場建設は開催には間に合わない、それ以上に交通機関の完成は遅れが甚だしくオリンピック開催は無理、あわせて治安が最悪な状態であることからブラジル・リオデジャネイロはオリンピック競技会開催を返上するのではとも言われていた。しかし、南半球初めてのオリンピック競技会は、大きなトラブルもなく成功裏に終わった、いや、素晴らしいオリンピック競技会であったと言うべきである。私の思いはテレビ放映を観てのみの判断であったことから正確でないかもしれないが、最悪との前評判を覆す、感動的なオリンピック競技会であったとの印象、私は感激した。リオオリンピック開催中はアメリカに滞在していたこともあり、私が見たのはアメリカ選手活躍のシーンがほとんどであったが、オリンピック会場から伝わる熱気は凄く、アメリカ国民もかなり盛り上がっていたのは事実である。どこの国でも自国中心のテレビ放映はお決まりであったが、記憶に残る大事件もあった。常勝アメリカと負け戦の多い日本が陸上競技男子400㍍リレーでは明暗を分け、驚くことに日本は信じられない銀メダル、アメリカ合衆国は銅メダルであったのが最終的に失格となった。閉会式のセレモニーにおいて、批判はあるかもしれないが、ICT技術の日本、マリオに扮した安倍首相はとても良かった。リオデジャネイロ大会閉会式における次回開催東京オリンピックへの盛り上がりを現実とするには、これからが勝負である。世界を引っ張る日本、そして2回目の開催となる首都東京の真価を世界から問われている、と感じたのは私だけではないはずである。1964年(昭和39年)に開催したオリンピック競技会東京大会より以上の感動を、世界に発信することを多くの国民が望み、我々技術者も最先端の優れた技術によってそれに応えなければならない。さて、東京オリンピックに関連する話は次の機会に譲るとして、前回の「何とも可笑しな、そして可哀そうな橋」の続きをお話しすることとしよう。

 変状の発生している供用中の橋梁の引き継ぎを断ってから第一期橋(旧橋・・・あくまで計画幅員を満たすために時期をずらして建設された。であるから旧橋と呼んでいるのがそもそも変な事なのだが)の補強が完了し、その後並列して架かる第2期橋に大きな変状発生も無く時が過ぎた。時代も高度成長期からNPMの時代へと移り変わり、将来に大きな負担となる義務的経費やコスト縮減及び組織の縮小等を行う、ぬるま湯公務員を大きく変える厳しい環境へと激変する状況になった。これが第2話として話題提供の発端であり、組織の業務見直しの結果、主要幹線に架かる当該橋梁を含め数橋が、本来の道路を管理すべき組織に引き継ぐべきとの判断が各組織を束ねるトップでなされ、移管するにはどのようなステップで手続を行うかの検討が始まった。

 行政組織内の縦割りの考え方は民間企業に働く人々の想像を超えるほど強く、首長の基、本来であれば建設担当の組織が維持管理を十分に考慮して建設し、管理担当の組織にスムーズに移管、適切な道路網として一括して管理・運営するのが道理であるが、実態はかなりの差異がある。ここで、建設と管理の縦割りについて説明しよう。

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