3.4 凍結防止剤による塩害を受けた六月高架橋の補修事例
新潟支社においても他支社と同様に、凍結防止剤を含む路面水の浸透により、鋼橋のRC床版上面のかぶりコンクリートの剥離や土砂化による舗装のひび割れ、ポットホールが頻繁に発生している。
RC中空床版橋でも同様の変状が生じており、上信越道の山間部に位置する六月高架橋では、これらの損傷も含めて凍結防止剤による塩害に対して補修を行っている5)。写真‐6にRC中空床版のスラブ上面及び舗装の変状事例を、補修事例を写真‐7に示す。また、中央分離帯の隙間等からの漏水による張出し床版下面の変状・補修事例を写真-8に、排水管からの漏水による橋脚の変状・補修事例を写真-9に示す。
これらの変状個所は、劣化部をウォータージェット(以下、「WJ」)ではつり、腐食により断面欠損している鉄筋を補完し、(防錆材混入)PCMによる断面修復を行った後、コンクリート塗装(床版は防水工:グレードⅡ2))を基本とした補修を行っている。補修にあたっては、3.2で記したとおり、再拡散シュミレーションを行い、使用材料やはつり深さを決定している。また、張出し床版の補修では、段取り筋の撤去、水切りの改良(Vカット→凸型)を行っている。
写真‐6 舗装路面の変状と床版上面の変状事例(土砂化)
写真‐7 床版上面の補修事例(防錆材混入PCMによる断面修復+床版防水工)
写真-8 張出し床版下面の変状、補修事例(断面修復+コンクリート塗装)
写真-9 排水管からの漏水による変状、補修事例(断面修復+コンクリート塗装)
本橋では、工事前に部分的な開削調査のほか舗装上面から電磁波レーダーによる調査を試行し補修範囲を決定したが、工事段階で舗装を開削して調査を行ったところ、補修範囲が大幅に増加した。このような変更は、他の工事でも発生し対応に苦労していることから、舗装上面から劣化状況や範囲を精度よく調査できる実用的な非破壊検査手法の開発が望まれる。