2.橋梁の劣化状況
(1)鋼橋
東北道の設計基準が古いRC床版の一部橋梁は、平成7年頃から増厚工法により補強が実施されているが、平成11年頃から路面にポットホール等の損傷が発生し始め、床版上面の砂利化、床版下面のひび割れ増加、さらに鉄筋の錆汁の発生等、劣化の進行が確認された。このため、平成15年に東北道で初めて七北田川橋において床版取替工事が実施され、これに続いて綱木川橋、福島須川橋(写真‐1)が取替に至っている。
取替工事において撤去した床版の断面を観察すると、増厚床版部と既設床版部が剥離している場合と、写真-2のように既設床版部にひび割れが発生している場合が主に確認できる。
写真‐1 東北道・福島須川橋と損傷状況
写真‐2 増厚床版の断面(東北道・福島須川橋)
(2)PC・RC橋
コンクリート橋で最も劣化の激しいのは、桁端部である。伸縮装置の損傷から漏水し、桁端部(上部工、下部工、支承)の広範囲に影響が及んでいる。特に中小橋の場合は、走行性の改善や環境対策等を目的に採用された埋設型ジョイントが損傷しており、耐久性・止水機能のある製品ジョイントや埋設ジョイントへの取替が急務となっている。(写真-3)
写真-3 埋設型ジョイントの損傷状況
また、桁端部は狭隘部であり施工が極めて困難であるとともに、PC橋の場合はPC鋼材の定着等があり、慎重な補修計画の立案が必要となり、対応に苦慮している。
写真‐4は、PC橋の桁端部であるが桁遊間がほとんどなく、特に妻部分(橋台パラペットとの遊間部分)の施工の困難さが分かる。
写真‐4 山形道・上蔵王橋
(3)下部工
下部工においても伸縮装置部分での損傷が顕著であり、塩害による劣化要因以外のものも見受けられている。写真‐5は、掛違橋脚において凍害による著しい劣化が進展している状況である。最低気温が大きく下がる会津地方、および岩手・青森県境の橋梁の一部に確認されている。
また、東北道の郡山~北上の区間はアルカリシリカ反応の影響が懸念される橋梁がある地域とされており、一部橋梁の特に橋台に確認されている(写真‐6)。対策として、クラック注入や表面処理工法が実施されているが、劣化が進んでいる。橋台の場合は背面からの水の侵入もあるため、有効な対策が困難な状況となっている。
写真‐5 磐越道・小黒川橋 写真‐6 東北道・新摺上川橋