2.北海道支社管内の環境と劣化要因
平成25年度における各路線の交通量と大型車混入率は、それぞれ道央自動車道が117千台/日14.6%、札樽自動車道が55千台/日13.3%、道東自動車道が8千台/日14.6%となっている。大型車混入率は、東日本高速道路全体では、17.5%であり、北海道支社管内の方が小さい値となっている。よって、交通荷重による橋梁に対する劣化は、他支社より少ないと思われる。
また、橋梁の経年を図-3、4に示すが、30年未満の橋梁が約70%を占めており、比較的経年数は少ないと思われる。しかしながら、札幌オリンピック(1972年2月)に向け供用した道央自動車道及び札樽自動車道の一部は、40年を超えており、経年劣化による変状が顕在化している。
図-3 経年割合
図-4 開通年と経過年数
自然環境の面からみると、支社全体は積雪寒冷地である。図-5に、北海道支社の管理事務所所在地、NEXCO東日本の支社所在地及び北半球高緯度にある首都等における1月の平均気温と年間降雪量を示す。支社管内は、気温が低く、かつ、降雪量も多い非常に厳しい自然環境にある。
図-5 各都市の降雪量と1月平均気温の関係
このように積雪寒冷地の高速道路を管理していることから、凍結防止剤の散布が非常に多く、道央自動車道の札幌を中心に215㌔の区間で、供用からの累積散布量が1,000㌧/㌔を超えている。このため凍結防止剤に含まれる塩化物イオンが、橋梁を劣化させる大きな要因となっており、橋梁としては非常に過酷な環境となっている。
以上から、橋梁の経過年数は少なく、交通荷重による床版の疲労の問題は小さいものの、凍結防止剤散布量が非常に多いことから、橋梁の各部位に塩害が発生している。また、気温が非常に低くなることから、コンクリートには凍害も発生している。
北海道支社の路線は、ほとんどの区間で飛来塩分による塩害の影響を受ける海岸線からの距離が大きいことから、これによる劣化は生じていない1)。日本海側に位置する札樽自動車道の一部は、海岸線からの距離が、700㍍未満となっている。しかし、凍結防止剤を散布していることから、飛来塩分による劣化との明確な区分はできないが、凍結防止剤による影響が大きいものと考えている。