夜間施工のみで昼間は交通開放
NEXCO中日本・大林組 工事渋滞を抑制する床版取替工法を開発
中日本高速道路(NEXCO中日本)と大林組は17日、工事渋滞を抑制する床版取替工法「DAYFREE™」を共同開発したと発表した。本工法は、交通量が比較的少ない夜間に1車線規制で半断面施工をして、昼間は車線規制を解除して交通開放できることが最大の特徴となっている。半断面専用の移動式床版架設機や、舗装と防護柵を一体化させた仮設床版、大林組が開発した超高強度繊維補強コンクリート(UFC)スリムクリート®を応用した床版接合構造を新たに開発し、それらを用いることで床版取替工の施工ステップを分割して、夜間のみの施工を実現させた。
床版の撤去と架設を行う移動式床版架設機は、支柱が上下左右に伸縮可能な門型クレーン。トレーラーで搬入・搬出が可能で、現場で支柱を伸ばすことにより短時間に自動で設置ができる。
新設プレキャストPC床版の接合部は、継手に大林組のスリムファスナー®を採用して間詰幅を従来工法(ループ継手)の約50%としたうえで、スリムクリートと同材料のプレキャスト板「スリムNEOプレート™」(30~40mm厚)を設置する。プレート自体が高強度であるため、短時間で交通開放ができるとともに、間詰材であるスリムクリートの充填は交通開放後に床版下面から行うことが可能となった。
施工は、1夜間で既設床版を撤去して仮設床版を設置して交通開放を行い、翌日以降の1夜間で仮設床版の撤去と新設床版の架設、舗装を行うステップとなり、これを繰り返して工事を完了させる。既設床版の撤去では、上フランジのスタッドを一緒に撤去する工法(大林組の「サブマリンスライサー™」)を用いて、作業時間を短縮する。仮設床版は舗装と防護柵が一体化された構造となっており、間詰部のみ舗設作業を行えば施工が完了する。新設床版は仮設床版撤去後、上フランジの研掃を行い、架設していく。防水層(グレードⅡ予定)については、あらかじめプレキャストPC床版に舗設しておくという。
NEXCO中日本では1夜間の作業を20時から翌6時で想定しており、準備工などを除く約8時間の作業で、2スパン約4mの床版撤去および架設が可能としている。
本工法は、昼夜連続片側車線規制で行う従来工法に比べて工期は伸びるが、工事渋滞の発生を大幅に抑制できることや、他工事への影響が少ないため施工時期の制約を受けにくいことなどの効果が得られることから、NEXCO中日本は都市部などの交通量の多い区間での床版取替工事での適用を検討していく。
現在、中央道・諏訪南IC~諏訪IC間の弓振川橋(上り線/橋長39m)床版取替工事で試験施工(昼夜連続対面通行規制)を行っており、今秋の同橋(下り線)の工事でも本工法が採用される予定だ。
(2020年6月18日掲載)