新年賀詞交換会を開催
PC建協 9年連続で会員企業売上3,000億円以上を達成
一般社団法人プレストレスト・コンクリート建設業協会(PC建協、森拓也会長、右肩写真)は、1月15日4時半から新年記者会見及び、同6時から賀詞交換会をいずれもホテルグランドアーク半蔵門で開催した。賀詞交換会は会員企業などから約400人が出席し、盛大に開催された。
賀詞交換会には約400人が出席した
森会長は、記者会見の冒頭で、能登半島地震で被害を受けた方々に哀悼の意を示すと共に、「PC建協として、地震発生直後から本部および北陸支部において災害対策本部を設置した。PC建協の北陸支部管内において、施工中の現場での被害は確認されていない。北陸支部においては、支援体制を整えており、行政からの要請に基づいて、今後復旧、復興に向けてできうる限りの協力を行っていきたい」と述べた。また、PC建協会員受注額は上期では1,910億円、通期では3,500億円程度になる見込みで、平成27年度から9期連続して3,000億円以上の売上になる見込みを示した。
次いで堤忠彦副会長が、令和5年度における国土交通省本省・各地方整備局・沖縄総合事務局、NEXCO3社、JRTTとの意見交換会の開催について報告した。「意見交換会はでは①年度工事量の安定的な確保、②働き方改革の推進、③生産性向上の推進、④PC橋の長期保全の推進、⑤PC建築の推進という5つのテーマについて提案した。各地方整備局からは、年度工事量の安定的な確保の重要性については認識している。働き方改革の推進については、工事書類の簡素化や統一化、遠隔臨場のさらなる推進による総労働時間の削減、完全週休2日モデル工事の順次拡大、あるいは発注者協議会を通しての自治体への周知を含めて、2024年問題への対策を進めていきたいという回答を頂いた。生産性向上についてはプレキャスト化の推進が重要であるという認識のもと、コンクリート橋のプレキャスト化ガイドラインに基づいた検討を進めていき、脱炭素に向けた検討の取組も進めていきたいという回答を頂いた」と述べた。
また、令和5年度の上期受注状況と今後の見通しについては、「上期会員受注総額は対前年比127%の1,910億円であり、その内訳は、施主別の受注については、高速道路会社が対前年比90%と若干前年度を下回る結果となっている。工事種別では、新設並びに補修補強ともに、対前年比増という結果であった。通期見通しは、受注総額については令和4年度の実績を下回る見通しを立てている。施主別では高速道路会社が減少する一方、鉄道会社が大幅増加する。工事種別では新設が令和4年度よりも微増、補修補強は減少する予測、高速道路会社の発注は新設・補修補強とも下期にも多くの発注が見込まれるが、場合によっては期ずれなどが生じて令和6年度にずれ込む可能性があり、令和5年度の予測に影響を及ぼす可能性があるとみている」と述べた。
次いで、大野達也副会長からは建設キャリアアップシステムの推進、働き方改革の推進、安全への取組について報告がなされた。「一次下請は事業者、技能者登録ともほぼ100%になっている。二次下請け以降の事業者・技能者登録とも順調に登録が進んでいる。現場登録においては、NEXCO、地方自治体においても100%登録できている。CCUS活用モデル工事は令和4年度の2件に対し、令和5年度は10月末時点で23件と、当協会の要望に即し、大幅な増加を示している。今後引き続き協会を挙げて建設キャリアアップシステムを推進していく」とした。
また、働き方改革の推進については、「国土交通省発注の週休2日モデルの休日取得状況は、4週8休以上で99%の取得が進んでいる状況に対し、地方自治体工事は4週6休以上で95%、4週8休以上で79%と休日取得状況に差異が生じている。また、NEXCO3社の新規発注工事では、週休2日の発注者指定方式が原則となっている。既契約工事においても、週休2日モデル工事でない工事においても週休2日モデル工事への契約変更協議が進んでいる状況だ。令和6年度も5年度と同様に、発注機関との意見交換会などでの提案や対話を通じて、完全週休2日の実施や工事書類の簡素化など総労働時間の短縮に向け、取り組みを継続していく」とした。
安全への取組については、これまでの安全活動に加え、新たに安全関係への取り組みを追加、強化しており。「①安全リモートパトロールを本格運用し、多くの参加者でパトロールすることを可能にしている。②災害事例およびヒヤリハット事例を400事例にまで充実し、各社の安全教育などに活用できるようにしている。③安全に関するICTや新技術を会員各社に紹介・共有している」と現状を説明した。
井手口哲朗理事は生産性向上や現場の労働量不足への対応について説明がなされた。「プレキャスト化推進への取り組みを行っており、その設計・施工の効率化のために、BIM/CIM推進・活用委員会と共同でJISで規定されている工場製作プレキャスト桁の3次元モデルを制作している。3次元図面を作成することにより、鉄筋とPC鋼材の干渉や鉄筋とPC定着部の干渉などを確認することができる」と述べた。
川田琢哉理事からは、新たに2つの図書の発刊を報告された。1つは「外ケーブル工法、外ケーブル補強工法」で、「初版を1998年に発刊し、07年に改訂しましたが、このたび平成29年度の道路橋示方書に準拠して、昨年8月に新たな改訂版として発刊した。今回はコンクリート橋をさらに長期的に保全し、将来の社会生活を支えていくことに貢献するための方針を採用した」。
2つ目の「PC技術を用いた構造物の補修・補強事例集」はPC技術を用いた構造物の補修補強事例集として昨年12月に発刊した。道路管理者、設計会社、並びに建設会社の補修補強の担当者を対象として、当協会で開発適用してきた新技術や新工法を事例集として紹介している。掲載事例は補修内容と共に、補修補強前の変状状況や、補修補強の考え方、当該工事に対する評価と、今後の課題について記載している」とその内容について説明した。