橋梁では蔵前橋、城ヶ島大橋などを認定
土木学会 2023年度選奨土木遺産21件を発表
土木学会(田中茂義会長)は25日、2023年度同学会選奨土木遺産に認定した21件を発表した。支部推薦および公募の中から土木学会選奨土木遺産選考委員会(知野泰明委員長)が選定した。
橋梁では、関東大震災の復興橋梁であり、バランスのとれた3連の鋼アーチ橋として歴史的に価値の高い「蔵前橋」(1927年竣工/東京都台東区~墨田区)や、鋼床版箱桁形式を採用し、種々の構造的課題を応力測定試験等により解決し、その後の橋梁技術発展の礎となった「城ヶ島大橋」(1960年竣工/神奈川県三浦市)などが選ばれた。
選奨土木遺産は社会や土木技術者へのアピール、まちづくりへの活用などを目的に2000年度から毎年20件程度を認定している。
■2023年度選奨土木遺産に認定された橋梁
(左)蔵前橋/(右)城ヶ島大橋(土木学会提供。以下、同)
(左)茂岩橋(1961年竣工/北海道中川郡豊頃町)
変断面下路式ゲルバートラスの橋梁において国内最長スパンを誇り、左右対称で中央に尖峰が並び立つ、均整の取れた意匠の橋梁。
(右)大井川橋梁(下り線)(1915年竣工/静岡県島田市)
大正時代に製造された、リベットによる剛結合の曲弦プラットトラス桁で歴史的価値の高い橋梁。
(左)東高洲橋(1966年竣工/兵庫県尼崎市)
関西に残る数少ない「本当に動く」可動道路橋であり、尼崎市南部工業地域を支え続け、経済発展に大きく寄与した橋梁。
(右)木津川橋りょう・岩崎運河橋りょう(1928年竣工/大阪府大阪市浪速区~西区)
大阪環状線に在る国内唯一の複線下路ダブルワーレントラス橋で、斜角がきつく垂直の端柱と平行弦トラスを用いた橋梁。
(左)琵琶湖大橋(下り線)(1964年竣工/滋賀県大津市~守山市)
現代の長支間長桁橋の先鞭となった3径間連続鋼床版箱桁橋で、支間長140mは同形式として完成時国内最長を誇った橋梁。
(右)佐川橋(1939年頃竣工/高知県高岡郡四万十町)
大正林道の橋梁として架設された鉄筋コンクリートアーチ橋で、永年地域で愛されてきた橋梁。
横瀬二連水路橋(幹線水路1900年・左岸側1904年・右岸側1906年竣工/大分県大分市)
明治期の大分に建設された二連の石造アーチ橋で、階段状の水路壁と重厚な橋脚を有するユニークな水路橋。