道路構造物ジャーナルNET

RC床版を2個所で取替、32,000㎡で複合床版防水工を施工

阪神高速 3号神戸線京橋IC~摩耶IC間約4.2kmでリニューアル工事

公開日:2023.05.30

 阪神高速道路は、3号神戸線京橋IC~摩耶IC間約4.2kmの上下線において終日通行止めを行ってのリニューアル工事を行っている。24日にその現場を公開した。同現場では舗装補修を約62,000㎡で行うほか、床版取替を2箇所(528㎡と198㎡弱)で行っている。床版補修としては、鋼床版(対象3,786㎡)のうち、亀裂が顕在化している箇所約1,400㎡でSFRC基層による補強を行う(SFRC補強非対象の鋼床版はグースアスファルト基層を施工)。RC床版部約32,000㎡で複合床版防水工法を施工する。高性能床版防水工法はHI-SPECシール工法(LTタイプ)+タフシールを採用している。また、伸縮継手は147箇所で補修、24箇所でジョイントレス化を行う。人家連坦地での施工であることから静粛性を担保するために、鋼床版のグースアスファルト基層の撤去においてはIH工法、伸縮装置の撤去においてはSJS工法を採用し、騒音や振動の抑制を行っている。(井手迫瑞樹)


RC床版損傷部/RC床版補修部/鋼床版グースアスファルト施工状況

 床版取替は1969年に供用した神S360の上下線と69年に供用した神S391の下り線で施工する。神S360は橋長30m、全幅員17.6mの鋼単純合成鈑桁(5主桁)である。一方神S391下り線も橋長21m、幅員9.5mの鋼単純合成鈑桁(下り線のみで3主桁)という構造になっている。既設RC床版厚は両桁とも180mmである。桁間隔は前者が3.85m、後者も3.65mと比較的広く、疲労による損傷を蒙りやすい構造となっている。実際に両桁ともコンクリートの水平ひび割れや鉄筋腐食などの損傷が顕著であることから、今回取替に至った。

 いずれも終日通行止めを行う前の期間において、桁下で床版と鋼桁間の接合部コンクリートをWJで斫り、(その後の施工がしやすい)鋼製補強材と特殊モルタルによる仮設材に置換え、その後の切断を容易にするHidro-Jet RD工法を採用し、通行止め後は、床版を複数台のロードカッターで同時に切断し、撤去時はスタッドをプラズマ切断するだけで良いため、ブレーカーによる上フランジ上面コンクリートはつりの必要がなく、施工時の騒音・振動を大きく低減できる。

 さらに床版取替は、所定の強度を確保しながら軽量で薄い構造とできる平板型UFC床版(神S360で適用)と、同じく版厚を薄く抑えられ、プレストレスの導入が容易なHSプレストレスジョイントを用いたプレキャストPC床版(神S361下り線)を採用し、終日通行止め期間内の限られた工期で床版取替が完了できるようにした。両工法はいずれも阪神高速道路が鹿島建設(UFC床版)、清水建設・ユニタイト・住友電工スチールワイヤー・昭和コンクリート工業(HSプレストレスジョイント)と共同開発したもの。


平板型UFC床版

HSプレストレスジョイント床版

お問い合わせ
当サイト・弊社に関するお問い合わせ、
また更新メール登録会員のお申し込みも下記フォームよりお願い致します
お問い合わせフォーム