万博までに14号松原線喜連瓜破付近高架橋の架替えと16号大阪港線阿波座付近における縦目地撤去工事を完了させる
阪神高速道路 吉田社長会見 同グループの中期経営計画(2023~2025)について説明
阪神高速道路は21日、吉田光市社長の会見を行い、同グループの中期経営計画(2023~2025)について説明した。2025年は万博開催年ということもあり、「万博までの我々が行うアクションプラン」(吉田社長)として位置付けている。そのうち土木分野における方針をまとめた。(井手迫瑞樹)
基本的にはグループビジョン2030で示している「6つのありたい姿」について、2025年度までに進める目標といえる。
「①最高の安全と安心を提供する阪神高速」では、大規模リニューアル事業を着実に推進して、14号松原線喜連瓜破付近高架橋の架替えと16号大阪港線阿波座付近における縦目地撤去工事および通行止めによる集中工事を活用したSFRC舗装工事を完了させる。喜連瓜破付近高架橋の架替えについては、6月中に既設桁の撤去が完了する予定。
喜連瓜破交差点付近高架橋の既設桁撤去状況写真(左のみ井手迫瑞樹撮影、右は阪神高速道路提供)
既設桁の切断状況と切断面(井手迫瑞樹撮影)
16号大阪港線阿波座付近における縦目地撤去工事(井手迫瑞樹撮影)
3号神戸線湊川付近では橋脚の増設工事が完了しており、今後は上部工の検討を進める。
橋脚の実施工事状況(井手迫瑞樹撮影)
今春には3号神戸線(京橋~摩耶間)について床版の取替や舗装の打ち替え工事に着手し、今回は2箇所の床版取替、床版防水工の施工、舗装打替えなどを行う。5月19日から6月7日までの19日間終日通行止めで施工する予定。同線は9万台の交通量、多数の大型車が混入している重交通路線であり、2万台ほどが都市間の通過交通であることから、長短両方のう回路を提示して、交通渋滞を最小限にするよう努める。15号堺線湊町付近については9基の鋼製基礎のリニューアルのうち、先行で施工している3基のリニューアルについて万博までに完了することを目指している。また、耐震性のさらなる向上や排水性舗装の設置や更新、橋梁のジョイントレス化による良好な走行環境の保持なども変わらず進めていく。
「②もっと便利で快適なドライブライフを実現する阪神高速」では、建設事業において、淀川左岸線(2期)で大阪市より委託している海老江地区および豊崎地区の開削トンネル、換気所、橋梁工事では、橋脚工、桁架設工、掘削工および函体工などを実施していく。同事業は大阪・関西版各会場へのアクセスルートとしての暫定利用に向けて、共同事業者である大阪市とともに事業を着実に推進していく。淀川左岸線延伸部については、地中障害物の撤去工事の推進を行うと共に、トンネル部では有識者の助言を踏まえて設計検討、堤防・道路一体構造の安全性などを検討していく。
大阪湾岸道路西伸部は、長大斜張橋の架設計画を含む詳細設計が佳境に入っており、早期の工事着手に向けて努力していく。
「③世界水準の卓越した都市高速道路技術で発展する阪神高速」では、大阪湾岸道路西伸部における長大斜張橋の建設、淀川左岸線延伸部における大深度シールドトンネルの建設などをスムーズに行うための新技術の開発、適用を目指すと共に、大規模更新工事の社会的影響を最小限にするための急速施工技術の開発を推進する。今春の3号神戸線(京橋~摩耶間)では床版撤去技術としてHydro-Jet RD工法、急速技術としてUFC床版やHSプレストレスジョイント工法などを活用するほか、複合床版防水工なども施工する。
Hydro-Jet RD工法(NET掲載済み)
UFC床版の架設(井手迫瑞樹撮影)
HSプレストレスジョイント工法(阪神高速HPより抜粋)
BIM/CIMなどを活用することによるプラットフォームの構築も進める。こうした2D、3Dのデータを蓄積することにより地震時の構造物の挙動予測シミュレーション制度を向上させ、防災・減災対策のさらなる高度化を図る。維持管理におけるデジタルツインモデルを構築も目指していく。さらにGISを基盤とする情報システム群『阪神高速COSMOS』と連携して『阪神高速の橋梁マネジメントシステム(H-BMS)』の4次元化なども進めていく方針だ。