プレビーム振興会は10月6日、東京・学士会館で50周年記念式典を開催した。記念講演会は、東京工業大学の岩波光保教授が「インフラメンテナンスの現状と今後の展望」というテーマで講師を務めた。
川田忠裕会長は挨拶の中で「プレビーム工法は、木村又左衛門氏が有していた基本特許を実用化した日本独自の鋼・コンクリート複合構造である。2022年3月末の実績で道路橋1,097橋、鉄道橋29橋、建築梁103件」の1,161物件の採用に至っているが、今後も次の50年、100年に向けてさらに活動を強化していきたい」と述べた。
川田会長/岩波教授
岩波教授の記念公演は立錐の余地がない状態だった
来賓として挨拶した松井繁之・大阪大学名誉教授は、プレビーム振興会の歴史を紐解き、初めてプレビームで架けた玉津橋が撤去(河川改修に伴い20年足らずで撤去した)した際に関西道路研究会でその桁を用いて各種試験を行った思い出や、アーチフォームの開発秘話、プレビーム合成桁の構造設計施工指針の作成と4版に渡る改定などについて、その歴史を詳述した。
プレビーム振興会は、1,161件の実績を有している。プレビーム桁は鋼桁、下フランジコンクリートと床版コンクリートが合成された構造。鋼桁に荷重を裁荷し曲げ変形(プレフレクション)を与えた状態で、下フランジコンクリートを打設し、硬化後に荷重を解放することにより、下フランジコンクリートに圧縮力をかける構造。これにより①桁高を低くでき、②変断面の桁形状にも対応可能で、③連続桁により、さらに経済性を発揮できる。④また、平面桁配置の自由度が高いため、複雑な道路線形への対応が可能だ。
施工事例(弊NET既掲載)
初採用は1968年に大阪市が建設した玉津橋で、築50年を超える橋梁も13橋あるが、大きな補修工事もなく供用されているということだ。2021年度の実績は16件、鋼重約2,200tで約50億円の受注額であり、新設橋の発注が減少する中でも年度平均発注金額約40億円を堅持している。今年度も50億円前後の受注を見越している。
今後も現場の工期短縮、省力化を図るべくアーチフォームなどをうまく使う手法などを駆使して、採用増につなげていく方針だ。