桁高は最大で6mに達する
橋長200mの鋼2径間連続鋼床版箱桁
愛媛県八幡浜土木事務所は、大洲市と八幡浜市を結び、松山自動車道とつながる大洲・八幡浜自動車道の建設事業を進めているが、そのうち2022年度内の供用を目指して、八幡浜IC(八幡浜市大平)~八幡浜市郷までの「八幡浜道路」3.8kmの建設を進めている。そのうち最大の橋梁である郷高架橋(橋長200m、鋼2径間連続鋼床版箱桁橋)のA1~P1間約130mの架設をJR四国に委託しており、5月上旬には昨年9月から3回に分けて実施してきた工事の最後の送り出しを行った。同径間は直下のJR予讃線および国道197号線を跨ぐ箇所であり、大洲側はランプになるため幅員が変化している。そのため桁高も変断面となり、最大で6mにも達する。同橋の架設について速報する。(井手迫瑞樹)
桁直下は国道197号線やJR予讃線が走る(井手迫瑞樹撮影)
P1橋脚 本線橋およびランプ橋の桁を架設するため中空断面から密実断面に
上部工を軽量化するため、PCから鋼桁に形式変更
同橋は橋台部が逆T式橋台、橋脚が張り出し式橋脚となっており、基礎はいずれも深礎杭である。しかし、P1橋脚設置箇所は非常に狭いことからランプ専用の橋脚を建てることが出来ず、本線橋脚の梁を伸ばすことを余儀なくされた。そのため同橋脚は中空構造であったが、内部を密実断面にした。同橋は当初(概略設計時)、PCラーメン箱桁を想定していたが、それでは基礎が持たない。しかし、ヤードが狭いため基礎の補強も難しい。その課題を鋼床版箱桁に変更して軽量化することで解決した。
架設も難しい、送り出しの起点(A1)から終点(P1)に向かって上り勾配なうえ、曲線も有し、さらに幅員も変わる桁であるためだ。桁の高さ位置を調整し、勾配を水平にして送り出しを行った。また桁の送り出す2主箱桁間のゆがみを生じさせず、A1あるいはベント上のキャタピラ式送り出し装置がウエブの中心に位置するようにするため、ベント上(A1の前、JR予讃線の際に設置)では横方向にもジャッキを配置し、絶えず細かに計測して、確かめながら送り出していた。
送り出し起点側/桁と台車(井手迫瑞樹撮影)
夜間送り出し状況(井手迫瑞樹撮影)
送り出し進捗状況(愛媛県八幡浜土木事務所提供)
架設時の勾配を水平にしたため、桁のジャッキダウン量は実に7mに及ぶ。
桁は4夜間に分けて送り出しが行われ、19日に無事A1-P1間の架設が完了した。ジャッキダウンは、6月中旬から7月末までに6夜間に分けて行う。その後、P1~A2間70mについては、トラッククレーンベント工法で架設していく予定だ。
設計はエイト日本技術開発。元請は鉄建。桁製作及び架設の一次下請は川田工業。ジャッキなどの二次下請は大瀧ジャッキ。(同橋の詳細については、7月末に『現場を巡る』で掲載予定です)