愛知県・岐阜県が共同で事業を進める新濃尾大橋の架設が佳境を迎えている。基礎及び下部工は、すべて完了し、上部工も左岸側(愛知県側、A2~P5間336m)の架設を進めている状況だ。P8~A2は2台の200t吊クレーンを用いたベント架設。P5~P8は手延べ桁を用いた送出し架設で施工している。(井手迫瑞樹)
3月1日撮影(井手迫瑞樹)
桁の塗装色は『瑠璃』色を採用
両端クレビスジャッキで3.5mのたわみ処理、手延べ桁解体も独特の手法
同橋は、橋長759m(岐阜県羽島市~愛知県一宮市)、有効幅員11.5mの5+4径間連続鋼箱桁(2BOX)橋だ。床版は合成床版で、今回は横河ブリッジのパワースラブを採用する。塗装色も独特で周囲の景観とマッチした「瑠璃(るり)」色を採用している。
新濃尾大橋の架設状況ドローン撮影。独特の瑠璃色の桁が映える(愛知県提供)
大河川である木曽川を渡河する橋梁であるため、出水期に河川内へベントや桟橋を設置することは許されない。そのため、P8~A2に関しては、渇水期に5基のベントを建てて、河川区域内に配置した200t吊クローラークレーンを用いてP8側から順に鋼桁ブロックの地組と架設を繰り返してA2側へ施工していった。最もA2寄りの部分については、護岸に影響させず渇水期内で施工を行うため、A2側背面に200t吊オールテレーンクレーンを配置し河川内のクローラークレーンと同時架設した。架設方向は、P8側が固定、A2側が可動の支承条件であるためP8側から架設した。
P8-A2架設要領図/同架設状況(愛知県提供)
同径間を架設後は、A2~P8間桁上に軌条設備を配置した。最初に手延べ桁を地組みし、その背後に順次本桁をつなげていき、送り出していく。送り出しの推進力は台車に設置した500kNレールクランプジャッキと両端クレビスジャッキ(500kN、1,000mmストローク)とし、各橋脚上は2,000kN~3,000kNの送り装置を1主桁に2基設置した。
台車設備(井手迫瑞樹撮影)
手延べ桁は、架設時、先端に発生するたわみを処理するための両端クレビスジャッキを取り付けた。G1桁、G2桁にある手延べ桁は左右独立したセパレート式とした。河川内の橋脚は手延べ桁到達後、送出し設備組立前に支承を据付ける必要がある。支承は、吊天秤にぶら下げる形で準備し、主桁先端に配置したトラベラークレーンでG1桁、G2桁間を吊り下ろした。手延べ桁下部で吊天秤を回転させ、セパレートになっている手延べ桁左右下部に配置した支承運搬台車で吊りなおし運搬することで橋脚上に据付けた。また、たわみ処理に使用した両端クレビスジャッキは送出しの台車で使用したものと同じ仕様で、最大3.5mのたわみ処理を行っている。
たわみ処理/手延べ桁間に支承を通している状況(愛知県提供)
手延べ桁の解体も、河川部で桟橋が使えないため、桁上で施工するべく新たな工法を採用している。タワーと2セットのジャッキおよびウインチを使って、ブロックごとに手延べ桁を外して半回転させ、タワーに抱え込んで、台車で搬出する面白い手法を採用する方針だ。上部工の製作・架設は横河ブリッジ・JFEエンジニアリングJV。一次下請はミック、イチテック、寺島塗装店、オックスジャッキ、アソシエ。(基礎、下部や上部の技術的な詳細も含めた完全版は5月下旬に『現場を巡る』で掲載する予定です)