島根県・石倉英明氏が「地方自治体における橋梁補修の現状」というテーマで講演
PC床版継手工法研究会 オンラインで技術講習会を開催
PC床版継手工法研究会は、28日、オンラインで技術講演会を開催した。島根県土木部で同県の橋梁点検部会員である高速道路推進課企画員(サブリーダー)の石倉英明氏(右肩写真)が「地方自治体における橋梁補修の現状」というテーマで講演した。(井手迫瑞樹)
石倉氏は、地方自治体が、国交省の橋梁点検要領を尊重しつつ、自治体の保有する橋梁に合わせた自前の点検要領を作る大切さについて述べると共に、国からの手厚い財源があるからといって、「過大」に補修に投資することは、自治体の負担は軽いものの、国の債務を増やすことになることを指摘した。また、維持管理や補修に充てる費用を精査することで、更新費用を捻出したほうが、結果的に構造物の長期延命化につながるのではないか、と論じた。
橋梁の維持管理を改革する方策として、点検の合理化・効率化、職員の技術力向上、人材の育成が必要であることについて指摘した。とりわけ島根県が行った事例として、点検・診断などのアドバイザリー制度を創設し、ベテラン技術者の視点で、コンサルタントの調査結果を再確認して成果を上げた事例や基礎自治体の職員の技術向上事例について詳しく述べた。
最後に、石倉氏の個人的提言と断ったうえで、「要領は国の要領と(自治体が扱う)小規模版の要領の2つがあるべき。損傷原因を直して、延命できるなら、まずは原因除去をするべき。公務員技術者が立案者であるのだから、職員の知識向上が必要」と述べた。
加えて、現実の業務においても、「(維持管理における)発注図は写真で、図化は最小限、必要があれば、施工業者に有料で施工管理図はかいてもらう様にしたほうが良い。小規模補修は、一定規模のボリュームでかつ3年ぐらいの工期で発注し、(業者負担を減らすため)要件は技術者を縛らず、委託業務とした方がよい」ことなどを提案した。さらに設計の橋梁ファブなどによるセカンドオピニオンの重要性について述べた。
(2020年10月29日掲載)