0.01~0.02mmの微細なひび割れへの樹脂充填が可能
IPH工法協会 橋梁長寿命化に関わる講習会を開催
IPH工法協会(加川順一理事長、右肩写真)は10日、東京大学本郷キャンパスで「橋梁の長寿命化に関わる講習会」を開催し、官公庁をはじめ建設会社、コンサルタント会社から約100人が出席した。東盛珠樹副理事長は冒頭の挨拶で、「IPH工法協会はコンクリート構造物の健全な長寿命化を実現させるために、IPH工法の普及活動を行っている。その活動の一環で、東京大学大学院工学系研究科の長山智則准教授が理事長を務めるNPO橋守支援センター静岡と連携関係にあり、そのご縁で本日の講習会が実現できた」と述べた。
「IPH(内圧充填接合補強)工法による長寿命化事例の紹介」と題した加川理事長の講演では、IPH工法では空気と樹脂を置換することにより0.01~0.02mmの微細なひび割れへの樹脂充填が可能であるなどの工法の特徴が述べられた。事例としては、広島県三原市の橋梁補修工事では、施行前のコンクリート強度15.5N/mm2(施行箇所のコア採取ではなく健全な部分でのコア採取での数値)が施工後に23.2N/mm2に向上したことが紹介された。阪神・淡路大震災を受けたJR高架橋補修工事では、三ノ宮~新長田間7.2kmをIPH工法で施工しているが、13年経過して20人体制での施行でも2.5kmしか完了しておらず、「安全性を確保するのに時間がかかることが実態である」と述べた。加川理事長は講演の結びで、「人がつくった構造物でなぜ人が死ななければならないのかつねに疑問に思っていた。地震など自然には勝てない現実はあるが、世代を超えて構造物の命を全うさせなければならない。その点で、IPH工法の普及は命を守ることにつながるいうことを肝に銘じて推進していきたい」と述べた。
長山智則准教授と金田学NPO橋守支援センター静岡事務局長は「橋守支援センター静岡の活動とインフラ性能評価の研究事例」と題した講演を、京都大学大学院工学研究科の塩谷智基特定教授は「先端非破壊検査手法によるコンクリート構造物の劣化評価」と題した講演を行った。
(2018年9月11日掲載)