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エコクリーンブラストと合わせ、工法の優位性をさらに強化へ

循環式エコクリーンピーニングを展開

公開日:2016.03.22

 循環式エコクリーンブラスト研究会(山田博文会長、右上写真)は2月29日、東京で第5回総会を開催した。山田会長は冒頭のあいさつで、「設立から5年経ち、鋼橋塗り替えの際の環境に優しいブラスト工法である当工法の認知も進み、確実に需要は大きくなっている。しかし、それに従い様々な競争相手も増えてくる。そうした中で、会員がより良い施工品質を提供すればお客様からの信頼につながりエコクリーンブラスト工法(下写真)の発展に寄与する」と述べた。
 総会では決算、予算および新年度の事業計画などの承認のほか、NETIS登録情報の変更や実作業時の注意すべき部分などについて、報告がなされた。NETISについては適用範囲の項に「鋼構造物およびコンクリート構造物のバキュームブラストとして使用が可能」という一文を追加した。また、留意事項における施工時の項目に「装置より排出される空気(排気)に含まれる鉛等の有害物質管理濃度が基準値(0.05㍉㌘/立方㍍)を下回る事」という言葉も追加した。同文はすでに設計時の留意事項では記されていたが、施工時の留意事項でも挿入することで、ルーツブロア等で外部に排出される空気の数値も機械側で縛りを設けてより環境に優しい工法であることをアピールするためのもの。
 施工単価について大きな変更も報告された。平成26年度までは素地調整1種ケレンにおいてブラスト工(塗膜を除去する費用)の単価しか認められていなかったが、27年度からはそれに加えて研削材およびケレンかす回収工のコストが新たに官積算に追加された。その結果、循環式エコクリーンブラスト工法にも、研削材およびケレンかす回収工の費用を計上する事が出来る様になった事から人力による研削材の集積費用の受益者負担が軽減された。更に、従来工法との費用比較の点においても大幅なコストダウンが可能となり更なる普及の足がかりになると期待する。

循環式エコクリーンピーニング工法をNETIS登録へ
 溶接部の疲労寿命を向上

 また、循環式エコクリーンブラスト研究会では、優位性をさらに強化するための循環式エコクリーンピーニング工法(NETIS申請中)を開発した。

ピーニングの施工状況(左)/ピーニング装置(右)
 循環式エコクリーンピーニング工法は、溶接部の疲労亀裂対策として部材の塑性変形を利用したピーニング加工である。従来不可能とされてきた現地加工処理について実用化のめどをつけた。溶接継手を起点とする疲労亀裂に対する引張残留応力の低減と圧縮残留応力の付与により疲労亀裂の発生を抑制するもので、具体的には溶接部とその近傍に硬度と粒径を工夫した特殊鋼球により打撃(ピーニング)をおこない塑性変形させると共に溶接止端形状の改善をおこなうことで疲労寿命を向上させる手法である。基本的に循環式エコクリーンブラスト工法と同様の設備を使用し、特殊噴射ノズルとブラスト装置の循環ユニットをピーニングユニットに切替えることで実現可能としたもの。設備の交換の手間もなく、下地処理(ブラスト)と同時に施工できるため、フレキシブルな対応が可能。同手法を施すと「溶接のままと比べて2 等級程度、疲労強度向上が可能であることが確認された」(岐阜大学、ヤマダインフラテクノス、東洋精鋼 共同開発)としている。この循環式エコクリーンピーニング工法は会員限定の工法にする方針で、これも「受注の際の大きな武器にして欲しい」(山田会長)としている。(井手迫瑞樹、2016年3月22日)

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