大日本塗料の物理的素地調整法に変わる塗布形素地調整剤
「サビシャット」~腐食性イオンを不溶性の塩の形態で固定化~
KeyPoint
- 塗るだけで従来の2種ケレン相当
- 腐食性イオンを不溶性の塩の形態で固定化
- 腐食抑制材が鋼材を不働体化
平成27年度「NETIS」推奨技術
大日本塗料は、鋼橋など鋼構造物において、物理的な素地調整法を必要としないかまたは軽減可能な塗布形素地調整軽減剤「サビシャット」を開発した。従来の2種ケレンに比べコストを33%程度縮減できるほか、塗るだけで施工可能であるため施工時間を従来比約半分に短縮でき、熟練工も必要としない。
この塗布形素地調整軽減剤は清掃ケレン程度の簡便な前処理の後に塗布するだけで、従来の2種ケレンを施した場合と同等以上の防食下地が形成できることが特徴だ。動力工具が狭くて入らない、又はボルト部など凹凸が激しい箇所や、都市部の様な動力工具処理にって生じる粉塵や騒音が制限される環境、化学プラントなど動力工具処理によって発生する火花が制限される環境においても有効。上記の様な箇所は動力工具による除錆は困難であり素地調整が不足しがちだが、サビシャットを使用することで、動力工具処理にかかっていた時間・コストが削減でき、また粉塵・騒音を無くす事が可能で、環境にも優しい工事が施工できる。
素地調整剤の防錆メカニズムは、①さび層に塗布された素地調整剤はその脆弱部分に含浸し、湿気硬化形樹脂が水分を取り込んでさび層の凝集力を高める。②鋼材に対しアノードとなる金属を含むりん酸塩系防錆顔料がさび層中の塩化物イオンや硫酸イオン等の腐食性イオンを表面に引き出し、同時に鉄イオンをキレート化して不活性にする。③アニオン交換形腐食性イオン固定化剤(以下、イオン固定化剤と記す)がさび層中の腐食性イオンを不溶性の塩の形態で固定化すると同時に、腐食性イオンとのイオン交換によって放出されたアニオン性腐食抑制剤が鋼材を不働態化する。
上記の作用により、腐食性イオンは固定化、無害化され、その上から塗り重ねても界面の劣化による早期再劣化の心配がないため、塗り替え塗装品質の向上が期待できる。
施工単価は1㎡当たり1,440円(従来技術:1㎡当たり2,160円)
(新技術歩掛:橋梁塗装工労務単価 平成26年2月度長野県)
(従来技術歩掛:土木施工単価 平成26年4月5日発行/通巻1289号 橋梁塗装工 塗替塗装【材工共】素地調整2種ケレン静岡)
施工実績
・採用物件ピックアップ①
工事名:国道43号甲子園高架橋補強工事 発注:国土交通省近畿地方整備局 規模:7000㎡ 塗装系:Rc-Ⅲ+サビシャット
採用経緯:橋梁の形状と周辺環境から十分な徐錆作業が困難であったため、条件に合致する塗装仕様を要求されていた。騒音・粉塵・除錆困難箇所の処理が実現可能であるサビシャットをPRし採用が決定。
・採用物件ピックアップ②
工事名:スペースマウンテン鉄骨塗替え工事 発注:オリエンタルランド(東京ディズニーランド) 規模:200㎡ 塗装系:サビシャット+Vグラン
採用経緯:橋梁などと比べ人との距離が特に近いアミューズメントパークのため、予てより環境対応型の仕様を先方が希望。さびの粉塵、騒音が軽減出来るサビシャットを提案したところ採用に至った。
公共機関発注工事:23件 民間発注工事:100件以上
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担当者連絡先
大日本塗料株式会社 建築・構造物塗料事業部 構造物塗料マーケティンググループ 中西 遼
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