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東風平大橋、識名大橋の大規模補修も進める

沖縄県南部土木 南部東道路の整備、那覇大橋の架替えを推進

沖縄県
土木建築部
南部土木事務所長

我那覇 生雄

公開日:2019.03.29

管理橋は全体で135橋  2017年度末までに108橋の点検が完了
 健全度Ⅲが8橋、Ⅱが49橋

 ――次に保全について現在の管内橋梁の内訳から
 我那覇 管内では2017年度末時点で135橋を管轄しています。上部工形式別では鋼橋が18橋、PC橋が49橋、RCが19橋、ボックスカルバートが49個所となっています。
 供用年次別では本土復帰前が17橋、復帰後1979年までが21橋、80年代が28橋、90年代が41橋、00年代が22橋、10年代が6橋となっています。
 延長別では15m未満が72橋、15m以上50m未満が33橋、50m以上100m未満が10橋、100m以上の長大橋が20橋となっています。
 トンネルについては、4箇所を管轄しています。工法別ではNATMが3箇所、開削が1箇所となっています。
 供用年次別では、00年代が1箇所、10年代が3箇所となっています。
 延長別では、100m未満が2箇所、100m以上500m未満が1箇所、500m以上1,000m未満が1箇所となっています。

 ――管内の橋梁の点検状況は
 我那覇 全体135橋の内、2017年度末までに108橋の点検が完了しました。今年度末までに残る27橋の点検も終える予定です。108橋は健全度Ⅳが0、Ⅲが8橋、Ⅱが49橋、健全な1が51橋という結果でした。
 ――点検を進めてみてわかった損傷の傾向を上部工形式や部位別にお答えください
 我那覇 まず鋼桁については、飛来塩分による塩害により腐食や塗膜剥がれなど防食機能の劣化が生じています。
 コンクリート部材は施工時の乾燥収縮や塩害、疲労などにより浮きやひび割れが見られます。

 ――橋種別でもう少し詳しくPC桁の健全度状況から
 我那覇 傾向というほどの代表的な損傷とまでは言えませんが、PC鋼材に沿った乾燥収縮や横締め部の後打ち箇所にうきや遊離石灰などが見られます。
 ――RC桁は
 我那覇 RCでは、経年劣化によるコンクリートのうきや飛来塩分による鉄筋腐食などが見られます。
 ――部位別では
 我那覇 部位別では、コンクリート橋、鋼橋ともに桁端部において伸縮装置からの漏水による劣化の進行が多々あると感じております。
 ――塩害、ASRなどによる劣化の有無。劣化があればどのような形で出ているか(劣化部位やその劣化程度、面積)、またその対策工法などを具体的な橋梁などを挙げてお答えください
 我那覇 新設橋梁については台湾の花蓮産骨材を除外して施工しており、またフライアッシュを混入したコンクリートを使っていることから新たにASRが発生することはないと考えています。また、エポキシ樹脂塗装鉄筋やフライアッシュ混入コンクリートを用いていることから新たな塩害の発生はないものと考えています。
 既設橋についてもASRについては目立った損傷事例はありません。一方、塩害については識名大橋や東風平大橋などで鋼部材の損傷が生じています。両橋やむつみ橋などでは、床版などコンクリート部材の損傷も目立ちますが、交通量が多いこともあり、単に塩害だけでなく、疲労との複合劣化の可能性もあります。
 ――橋梁の耐震補強の進捗状況は
 我那覇 東風平大橋など、平成8年以前に建設された一部の橋梁において、橋の重要度に応じた耐震補強に取り組んでいるところです。

東風平大橋 鈑桁部の腐食が進行
 来年度はP3-P4の箱桁部を塗り替え

 ――橋梁の長寿命化修繕計画にもとづいた対策の進捗状況についてお答えください。また具体的な損傷状況と補修補強内容についても例を挙げていただけましたら幸いです
 我那覇 識名大橋と東風平大橋で大規模な補修工事を実施中です。
 東風平大橋は平成4年に建設された橋長580mの3径間連結プレテンPC桁+3径間連続鋼非合成箱桁+3径間連続鋼非合成鈑桁+3径間連結プレテンPC桁です。平成23年度の橋梁点検の結果、鋼桁部とりわけ鈑桁部の腐食が著しいことから塗り替えを実施しています。塗替え範囲は鋼桁部のP3-P12ですが、既にP5-P9間は塗り替えを完了しています。来年度にP3-P4の箱桁部を塗り替える予定です。
 ――東風平大橋で腐食が進んだ理由は
 我那覇 内陸部にある橋なので、短期間でこれほど腐食が進むとは考えていませんでした。しかし今になって思えば、紫外線、高い湿度、飛来塩分量を少し甘く見ていたかもしれません。


東風平大橋の橋梁一般図および補修補強状況

かなりの曲線および勾配だ

架設後短期間で腐食が進んだ/塗膜剥離剤の施工

素地調整(1種)施工状況

塗替えの施工/塗装塗り替えが完了した鋼桁表面

塗替え前後の対比

コンクリート保護工(シラン系:『アクアシール1400』)も併せて行った

識名大橋 鋼桁やRC床版の打替えを施工
 断面修復や床版防水も実施

 ――識名大橋は
 我那覇 1976年に建設された橋長254.1mの鋼単純活荷重合成鈑桁(×7連)橋です。名の通り「識名園」(旧琉球王家の別邸、迎賓館)の近くにある橋梁です。
 同橋も平成24年度の橋梁点検の結果、鋼部材においては全体的に防食機能の劣化が見られ、端部や主桁下フランジ、添接部付近に鋼材腐食が見られました。また、RC床版部も断続的なうきが見られ、一部では剥離やひびわれ遊離石灰も検出されていることから断面修復工を実施する予定です。


識名大橋の側面図および断面図

同橋の損傷状況

 具体的には2016年度に橋面舗装打ち替え、橋面防水工を施工しています。ここも日交通量50,000台を超える交通の要所です。全4車線のうち、2車線ずつ交通を切り回しながらシート系橋面防水工、伸縮継手交換、橋面舗装を実施しました。塗装については2017~18年度にかけて1径間の塗り替えを施工しています。来年度以降も順次対策を進めていきます。


識名大橋全景/識名大橋でも塗装を塗り替えている

路面の補修①上面の舗装剥ぎ取り、床版上面研掃

床版防水の施工状況(左、中)/表層舗装まで完了した状況(右)

ジョイントの取替

着手前後の識名大橋

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