南部東道路 7.4kmを事業化、現在第4工区2kmを整備中
那覇空港自動車道との接続箇所は完全立体交差型で整備
施工中の橋梁一覧(クリックし、拡大してください)
――進捗中の路線について
玉城 南部圏域ですと、地域高規格道路の南部東道路があります。同道路は、本島南東部と那覇空港自動車道とを結び、那覇市及び那覇空港や那覇港等へのアクセス向上を図り、那覇市までの30分圏域の拡大と、南部地域における産業及び観光振興、医療施設までの移動時間短縮等を支援する道路で、暫定2車線で整備しています。
このうち南風原町字喜屋武から南城市玉城字垣花間の7.4kmを事業化し、現在、第4工区(大里東ICから佐敷・玉城ICまでの延長2.0km)を早期供用に向けて整備中です。
那覇空港自動車道との接続箇所((仮称)南部東IC/南風原町字喜屋武)の形式は、完全立体交差型(準直結Y型)で、4つのランプ橋を整備します。橋長はそれぞれ435m、345m、135m、2643mで、幅員は7.0mです。予備設計は完了し、来年度は都市計画決定を行い、平成32年度に詳細設計を行う予定です。ランプ橋の構造形式は次年度以降に決定する予定です。当初はダイヤモンドランプ形式でつなぐ予定でしたが、直接乗り入れでないと時間短縮にならないという指摘も受けて現在のランプ形式となりました。
――NEXCOの上を通りますか
玉城 ここは無料区間で、管理者は南部国道事務所となります。
――国の代行施工でしょうか
玉城 それも考えていますが、細かい協議はまだ行っていません。追加の環境調査など、必要なことを行った後に国との協議を進めます。
――事業区間の構造物は
玉城 本線部において12橋梁(IC橋含む)とトンネル1本を計画しています。現在は、第4工区の大城高架橋(橋長172m、4径間連結PCポステン少主桁)、大城ダム1号橋(橋長123m、4径間連結PCポステン少主桁)、大城ダム2号橋(橋長78m、2径間連結PCポステン少主桁)、大城ダム3号橋(橋長123m、4径間連結PCポステン少主桁)の4橋梁を施工中です。
大城高架橋
大城ダム1号~3号橋
大城ダム1号橋概要図
――その他の工区では
玉城 第2工区で、長堂橋(橋長23m)、神里トンネル(延長100m)があり、予備設計段階で、次年度以降に同工区と第3工区の用地買収を始めます。
――地盤は
玉城 悪いところはそれほどなく、杭長が長くなることは考えていません。通常の杭基礎は必要になるとは思いますが。
――沖縄のトンネルは基本的に土被りが薄い印象がありますが、神里トンネルは
玉城 NATMを予定しています。土被りについてはこれから調査する予定です。
上之屋道路 都心部ほど近い個所に延長158mのトンネルを構築
土被りが薄く 防空壕やお墓も確認
――上之屋道路は
玉城 那覇北中城線(上之屋道路)は、地域高規格道路の上之屋IC(仮称)と国道58号を連結する自動車専用道路で、那覇都市圏の渋滞緩和や西海岸地域等へのアクセス性の向上等を目的に、直轄事業である那覇北道路とあわせて整備しております。用地買収を次年度以降に進め、3~4年後を目途にトンネル工事に着手する予定です。
構造物は延長158mのトンネルがあり、NATM工法で土被りが薄く地質調査で防空壕跡が確認されており、トンネル施工における、防空壕跡には不発弾が存在する恐れもあるため、施工時の安全性への影響及び対策に関する検討を行っております。
上之屋トンネル推定地質想定図
上之屋道路完成予想イメージ
――公共構造物やお墓などの民有地はありませんか
玉城 お墓が約160基、上部にあります。土被りが17~23mの薄いところは移設してもらいますが、ほとんどは大丈夫だと思います。防空壕跡の空洞もどのように走っているのか完全には確認できていませんので、地元にヒアリングしています。
――不発弾対策のための磁気探査は当然として、(沖縄戦当時の)戦没者の方々の遺骨収集も課題ですよね
玉城 それもあります。念には念を入れなくてはなりません。
那覇大橋 日交通量46,600台の大動脈を架け替え
複数回の仮設切り回し計画によるステップ施工が必要
――那覇大橋の架け替えについては
玉城 国場川を横断する同橋は、交通量が約46,600台/日で、那覇市の主要な幹線道路となっています。しかし、建設から既に48年以上が経過し、鋼材の腐食等の老朽化が進行していることから、架け替え拡幅整備する予定です。
架け替え中の那覇大橋(井手迫瑞樹撮影)
<spanゆいレールが近接している(井手迫瑞樹撮影)< span=””></spanゆいレールが近接している(井手迫瑞樹撮影)<>
同橋は、橋長147.6m、幅員27.5mの5径間連続鋼非合成少数I桁橋で、下部工基礎は直接基礎及びニューマチックケーソン基礎となっています。
同橋に接続して国道329号、下流側には沖縄都市モノレールの橋脚が近接しているため、架設工事や橋梁本体工事を進める上で施工の難しさがあります。そのため、複数回の仮設切り回し計画によるステップ施工を行っています。
工事着手後、支持層内に破砕帯が確認されたことから、一部の下部工について、基礎形式を直接基礎からニューマチックケーソン基礎に変更する必要が生じました。そのため、当初計画よりも若干時間を要しておりますが、2024年度の供用開始を目指しています。
――気になるのはメンテナンスのことです。3主桁で2主桁を先に架設して、そこに鋼床版を架設、コンクリートを打設して、さらに最後の1主桁を架設、残りの鋼床版を架設して合成床版のコンクリートを打設するということですが、沖縄はとくに塩害があるので、打ち継目がどうなるのか、取材をして不安でした
玉城 塩害対策では下に防塩板を全線敷くことを考えています。
――交通量が約46,600台/日で、大型車混入率がどれくらいかはわからないですが、通常の防水工でいいのかという心配もあります。下流側は一括打設と聞いていますが、上流側のところだけでも打ち継目保護のために、いい防水をしたほうがいい思いますが
玉城 確かにそのとおりです。
――鋼床版のラップは、上側のラップで閉めるのか、それとも下側に閉めるのでしょうか。添接部が一番危険だと思いますが、海の近い那覇大橋でどのような防食上の工夫をするのか、追加で教えてください
玉城 鋼床版はボルト連結を計画しています。連結部下面は内面塗装を施し、併せて防塩板を設置して防食処理をする予定です。
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