支柱、桁発注を急ピッチで進め構造物は29年度の完成目指す
沖縄都市モノレール 平成31年度早期に開業へ
沖縄県
土木建築部
都市計画・モノレール課
都市モノレール室長
喜屋武 元秀 氏
沖縄県は、現在、首里駅からてだこ浦西駅までの4.1㌔の延伸事業を進めている。全体構造物は支柱が178基、軌道桁が352本あるが、支柱は112基、桁は50本の発注を完了しており、29年度末までに全ての桁架設を完了させる予定だ。その進捗状況の詳細や、構造物の特徴、防食上の工夫等について土木建築部都市計画・モノレール課の喜屋武元秀都市モノレール室長にインタビューした。(井手迫瑞樹)
支柱は178基、桁は352本
基礎は最大でも10㍍超程度
――整備の考え方から
喜屋武室長 モノレール建設は大きくインフラ部と、インフラ外部に分けられます。インフラ部は橋脚や桁など、インフラ外部は車両や駅務機器、車両を走るための電車線などが該当します。インフラ部を当県など道路管理者、インフラ外部を運行主体である沖縄都市モノレールがそれぞれ整備し、その後の管理を行います。
延長区間につきましては、既存の設計要領に基づいて既存区間と同様に入念な施工管理を行って、品質の高い構造物を造るとともに維持管理を続けていきたいと考えています。
――進捗中の延伸事業路線の概要を教えてください
喜屋武 延長は4.1㌔です。支柱は合計178基あり、コンクリート製が130基、ボックス台座が28基、分岐機基礎(RC構造)が5基、鋼製が15基(張出T型が14基、門型が1基)です。基礎は直接基礎および施工ヤードが取れない個所では深礎杭、ヤードが十分確保できる箇所では場所打ち杭で施工しています。一部に10㍍を超える深さになる箇所もあります。
上部工は全体で352本あり、PCが306本、鋼製の機械桁(可動桁)が4本、鋼桁(合成桁含む)が42本となっています。
平成27年度末の進捗状況(発注ベース)は支柱が112基、桁が50本となっています。一番進んでいる区間は首里駅~石嶺駅間となっています。これには理由があります。首里駅は元から途中駅という位置づけであり、石嶺駅までの区間は用地の買収が完了していたため、中央部にモノレールを製作し、両側に道路を移動させる一連の工事がスムーズにできました。しかしその先の区間は用地買収が終わっていなかったため、そうした道路移設工事がすぐにできず用地買収を進める必要があった、ということです。
首里駅から石嶺駅間の進捗状況
国際センター線付近のモノレール建設進捗状況
てだこ浦西駅付近のモノレール延伸部建設状況
平成28年度は、支柱の発注を完了すると共に、桁についても発注を進め、平成29年度末には全ての桁架設を完了させる予定です。
――急ピッチですね
喜屋武 30年度にはモノレールの送電線の配線や試験運転を行い、31年度早期に延伸線開業というスケジュールを守るためには、29年末までに構造物の建設を完了させる必要があります。
PC軌道桁の桁長を22㍍に広げ支柱本数を削減
鋼製桁で合理化桁や合成桁を採用
――既存区間と新設区間の構造的な違いは
喜屋武 まずPC軌道桁の桁長を現行の20㍍から22㍍に広げました。これにより支柱本数を減らすことができ事業費の縮減に繋げています。
次に鋼製の軌道桁ですが、既存区間に錆の発生が確認されていることから、合理化桁というものを採用しました。
鋼軌道桁と合成合理化鋼軌道桁比較CG
――具体的にはどのような桁ですか
喜屋武 横桁と横構の本数を減らすことで添設部の数自体を減らし、発錆を少なくするものです。すっきりとしたデザインのため桁下空間からの景観改善にも寄与します。
もう一つ単径間部では走行面の改善を図るため鋼桁の上にコンクリート床版(RC)を組み合わせる合成桁構造を採用しています。
駅舎ついては、景観や周辺環境、プライバシー保護を考慮して、島式にした上で外壁を設置することにしているのが既存区間(相対式、外部開放型)との大きな違いになっています。外壁などのデザインは地域の特色を盛り込んだ形にしています。
県道城間前田線と並行する600㍍を地下化
NATM区間を全面展開中
――延長区間は一部地下構造がありますね
喜屋武 県道城間前田線と並行する600㍍区間において地盤の高低差が約40㍍あることから所定の勾配を確保するために一部地下化を行っています。構造は開削、U型ボックスおよびNATMとなっており。開削区間全体とU型ボックスの一部区間は施工を完了しています。NATM区間は全面展開しています。
県道城間前田線と並行する600㍍を地下化
――施工中の既存道路への配慮はどのように行っていきますか
喜屋武 鋼桁については地組製作ヤードが狭いため、できるだけ現地の交通を妨げないように製作・架設する必要があります。PC桁については1径間ずつトラックで運んできてクレーンを用いて夜間架設していく方針です。