2023年4月1日、日本シーカ、ダイフレックス、ディックプルーフィング、シーカ・ハマタイト、シーカハマタイト販売の5社が統合した新たな会社『シーカ・ジャパン』が誕生した。同社は建設および自動車を中心とした産業に強みを持つ樹脂製品を中心とした産業資材を供給する会社として、統合のシナジーを生かして、ワンストップ・ソリューションサプライヤーを合言葉に積極的に各分野への自社製品の浸透を図っていく方針だ。その統合効果を土木分野にもどのように生かしていくか。同社の営業担当副社長を務める倉田知久氏に聞いた。(井手迫瑞樹)
日本シーカ、ダイフレックスなど5社が統合
統合各社の売上合計は年400~500億円を推移
――シーカジャパンの目指している新しい会社の形は
倉田グループ長 日本シーカ、ダイフレックス、ディックプルーフィング、シーカ・ハマタイト、シーカハマタイト販売の5社が1つになりシーカ・ジャパンとなります。形式的には日本シーカに他の4社が統合される形となります。
日本シーカが行っていた事業は、コンクリートの混和材、工場用の建築資材、自動車関係の補修用シーリング材や接着剤など一液のウレタンが主となっています。ダイフレックスとディックプルーフィングは主に屋根の防水、床版防水や地下防水などの土木用防水、外壁用塗料が主な事業です。シーカ・ハマタイトは建築用のシーリング材、自動車用フロントガラスおよびリアガラスの接着剤が主な事業となります。
新会社の統合イメージ
――5社を合わせた売り上げ規模は
倉田 400~500億円台を推移している状況です。
ワンストップソリューションサプライヤーを目指す
シーカ・ジャパンに頼めば大抵のものは揃っている
――御社の提唱している『ワンストップソリューションサプライヤー』とはどのような意味ですか
倉田 シーカ・ジャパンは大きく分けると建築事業部と自動車部門に分かれます。建築については、土木も含めた防水材、外壁材、シーリング材など建築に係るケミカルな製品は「シーカ・ジャパンに頼めば大抵のものは揃っている」と思われる会社になることを目指しています。自動車分野もそれは同じです。
――そうしたサプライ製品が広がるのは分かります。ソリューションの充実はどのように図っていくのですか
倉田 シーカ・ジャパンは製品を売るのではなく、ソリューションを売る会社になることを目指しています。現場のニーズに応じて、当社の有する製品を提案していくことになろうかと思います。そうした提案力を充実させるため、営業は相手のニーズを的確に把握することに努め、これまで以上に充実させていくマーケティング部門がその情報を解析して戦略を定め、技術部門に的確に伝えることで、現場ニーズに合わせた最適な製品を提案することが出来るようにしていきます。
道路橋床版防水では一定以上のマーケットシェアを有する
剥落防止工では『RTワンガードクリア工法』を展開
――ここ3年の土木・建築分野の業績及び、中長期的な見通しを教えてください
倉田 旧ダイフレックスは建築のルーフィングに強みを持ち、一定以上のマーケットシェアを有しています。しかし土木に関しては社内シェアも市場シェアも低いことは否めません。土木分野は旧ダイフレックスにおいても10%弱の社内シェアに留まっています。床版防水分野に関してはそこそこの市場占有率を有していますが、他の地下防水や剥落防止工などシェアはまだ満足できる状況ではありません。土木分野と言っても裾野が広いですから、既存分野だけでなく、新分野にも視野を広げて、当社の製品を販売していく努力をしていかなくてはいけないと考えています。
――具体的にはどのような箇所にまずは注力していきますか
倉田 道路橋の床版防水や駐車場など土木構造物の地下防水、橋梁などの剥落防止工です。それに加えて上下水道事業などにおける貯排水装置や、コンクリート製水槽の防食などにも生かしていきたいと考えています。
同社工法(レジテクトGS-M工法) 自動吹付機による防水層施工状況
上下水道事業(左)上水道、(右)下水道などにおいてもシーカ・ジャパンの技術は浸透しつつある
さらにコンクリート橋梁の剥落防止工において、剥落防止性能を付与しながら、コンクリート表面の状況も確認できる「RTワンガードクリア工法」も引き合いが多くなっています。国交省や高速道路会社だけでなく、自治体からの引き合いも多く、ここでもマーケットを拡大できればと考えています。
RTワンガードクリア工法
RTワンガードクリア工法の性能
――ほかに土木分野で展開していく分野はありませんか
倉田 旧ダイフレックスが展開していた止水注入剤としてハイドログラウトA、同L、旧日本シーカのコンクリート混和材や鉄筋継手のエポキシ接着材、撥水材なども展開していきます。
国としても国土強靭化のために予算を大きく投じています。高度成長期に建設した構造物は老朽化が進んでおり、補修補強には大きな需要があることも承知しています。土木分野はまだまだ伸びる分野として積極的に投資していきたいと考えています。
旧日本シーカのコンクリート混和材