道路構造物ジャーナルNET

益田市内のひとまろ大橋では上部工架設が完了

島根県 骨格幹線道路約690kmの改良率100%達成を2029年度までに目指す

島根県
土木部
道路建設課長

市川 淳

公開日:2021.07.30

土木遺産の高角橋は幅員が狭く、上流側に新設橋梁を含めたバイパス事業を展開
 橋梁は渡河部の「ひとまろ大橋」と高架橋2橋

 ――その他、特徴のある整備事業は
 角グループリーダー 益田市内を流れる一級河川の高津川を渡河する新設橋梁を含めた主要地方道益田阿武線のバイパス道路事業を行っています。
 渡河部の橋梁とそれに接続する高架橋を「(都)元町人麿線(新高角橋工区)」(街路事業)として都市計画課が担当しています。バイパス道路はL字型になっていて、国道9号に接続するまでの高架橋を含めた区間は「(主)益田阿武線(須子工区)」(道路事業)として道路建設課の担当となっています。


元町人麿線(新高角橋工区)・益田阿武線(須子工区)の事業平面図

 現道の益田阿武線には事業を行っている下流側に土木遺産に認定されている高角橋(1942年架設、RCローゼ桁橋)が架かっています。しかし、同橋は幅員が5mしかなく、大型バスなどの離合ができないため、2車線(有効幅員7m)+片側歩道(有効幅員3.5m)の橋梁を新設することにしました。


現道の高角橋

 なお、渡河部は新高角橋として事業を進めてきましたが、公募により昨年7月に「ひとまろ大橋」という橋名に決定しました。あわせて、ひとまろ大橋に接続する高架橋は、「須子高架橋」、須子工区の高架橋は「須子中高架橋」と決定しています。
 ――各工区の事業延長は
  新高角橋工区が440m、須子工区が280mです。

ひとまろ大橋 河川部は作業構台を構築して送出しで架設
 非出水期内での施工完了のため、架設順を変更

 ――ひとまろ大橋について。橋長と上下部形式からお願いします
  橋長246mの鋼3径間連続合成細幅箱桁橋となります。下部工は、左岸側がTA1橋台で場所打ち杭の逆T式橋台、橋脚は張出式橋脚で右岸側のTP1橋脚が場所打ち杭、TP2・TP3橋脚がニューマチックケーソン基礎です。


ひとまろ大橋 橋梁一般図

 TP1橋脚は堤防内橋脚(ピアアバット)となるため、地震時に橋脚が堤防に悪影響を及ばさないように堤防と橋脚を縁切りする鞘管構造になっています。


TP1橋脚(鞘管構造)の施行

 ――上部工の架設工法は
  河川部は送出し架設、高水敷はクレーンベント工法を採用しています。送出し架設では、今年2月15日に桁が対岸(左岸側)のベントに到達しました。高水敷の架設については3月に完了しました。
 ――送出しの詳細をお教えください
  右岸側に作業構台を構築して、構台上で地組を行い、2回に分けて送出しを行いました。送出し長は1回目が49.5m、2回目が73.0mです。1回目は、2日間かけて手延べ機先端をTP3橋脚から22.7mの地点に到達させています。2回目は残りの主桁を地組後、3日間かけて主桁を左岸側に構築したベントに到達させました。


作業構台構築完了と構台上での地組

送出し開始前


第1回送出し完了

第2回送出し完了

 ――主桁重量と送出し重量は
  1回目の主桁重量は409.5t(66.5m)で、手延べ機(42m、42.8t)などを合わせた送出し重量は492.0tとなります。2回目は主桁重量631.8t(118.3m)で、送出し重量832.7tです。
 ――架設にあたっての課題としてどのようなことがありましたか
  河川内での施工となりましたので、非出水期内に完了させなければならず、非常にタイトな工程となりました。作業構台も資材運搬のための車両数を増やすなどの対応を行い、25日間で構築しています。


作業構台の構築

 架設順についても、当初設計では右岸高水敷のクレーンベント架設をしてから送出しを行うことになっていましたが、それでは降下量が大きくなり時間がかかるため、施工者であるJFEエンジニアリングの提案で作業構台を構築して送出し架設を最初にすることにしました。
 また、主桁が一定の割合で徐々に曲率が変わるクロソイド曲線桁となっていたため、送出しを進めると橋軸直角方向へのズレが生じることになりました。そのため、送出し設備(鉛直ジャッキ)の移動を行って対応しました。
 ――高水敷の架設は
  まず左岸側のベントからTA1橋台までを160t吊オールテレーンクレーンで行いました。右岸側は送出しで架設済の桁端からTP1橋脚までを150t吊クローラクレーンで架設しています。


TA1橋台側の架設(左)/TP1橋脚側の架設(右)

 ――須子高架橋の橋長と形式は
  橋長111.2mのPC3径間連続中空床版橋+鋼単純非合成鈑桁橋となります。
 ――施工状況は
  下部工を施工しており、SP6・SP7橋脚が完成し、SP4・SP5橋脚の工事を行っています。


須子高架橋 施工状況

 ――上部工着手はいつごろになりそうですか
  今年度から複数年で架設していく予定です。JR山口線を跨ぎますので、跨線部については桁を県で製作して架設はJRに委託します。
 ――須子中高架橋は
 市川 橋長88mのPC3径間連続中空床版橋で、下部工は3基あり、NP2橋脚が完了、NA1橋台とNP1橋脚が施工中です。


須子中高架橋 橋梁一般図

須子中高架橋 下部工施工状況

 ――上部工については
 市川 上部工については下部工完了後の2022年度に着手予定であり、2年程度の工期を予定しています。
 ――ありがとうございました
(聞き手=大柴功治)

ご広告掲載についてはこちら

お問い合わせ
当サイト・弊社に関するお問い合わせ、
また更新メール登録会員のお申し込みも下記フォームよりお願い致します
お問い合わせフォーム