道路構造物ジャーナルNET

山陰道・出雲~仁摩間の全線開通を目指し工事を全面展開中

松江国道事務所 大田・静間道路の静間川橋では送出し支間長96.4mの架設を実施

国土交通省
中国地方整備局
松江国道事務所長

藤田 修

公開日:2021.06.22

450橋、29トンネルを管理
 20m以下の橋梁が全体の約6割を占める

 ――保全について。管内橋梁の内訳からお願いします
 藤田 450橋を管理していて、RC橋218橋(48%)、鋼橋134橋(30%)、PC橋98橋(22%)とRC橋と鋼橋が多くなっています。架設年代別では、1960年代が36.7%と最も多く、次いで1970年代が70橋(16%)となります。
 延長別では、50m以下が363橋(81%)、51m~100m以下が33橋(7%)、101m~200m以下が30橋(7%)、201m~500m以下が18橋(4%)、500m以上が6橋(1%)で、50m以下が約8割を占め、そのうち20m以下が275橋と全体の約6割を占めています。現道の橋梁は短いものが多く、山陰道の橋梁は長いものが多い傾向にあります。路線別では、国道9号が345橋(77%)、国道54号が105橋(23%)です。
 ――トンネルについては
 藤田 管理トンネル29本のうち、矢板工法が17本(59%)、NATM工法が10本(34%)、開削工法が2本(7%)です。建設年代別では、1960年代が14本と最も多く、48%を占めています。1963年建設の国道9号神畑トンネルが管理トンネルでは一番古いものとなっています。
 延長別では、200m以下が12本(41%)と最も多く、500m以上は5本(16%)です。路線別では、国道9号が22本(76%)、国道54号が7本(24%)で、現道国道9号の海沿いは岩が出ている箇所を短いトンネルで抜く形が多く、国道54号は晴雲トンネル(1,120m)、赤名トンネル(599.8m)など、長いトンネルが多くなっています。

橋梁のⅢ判定割合は8% トンネルは28%
 Ⅲ判定34橋のうち21橋の対策完了

 ――橋梁とトンネルの定期点検結果をお教えください
 藤田 橋梁については、新設21橋を除く429橋で1巡目点検を実施し、Ⅰ判定317橋(74%)、Ⅱ判定78橋(18%)、Ⅲ判定34橋(8%)で、Ⅳ判定はありませんでした。Ⅲ判定の橋種別では、鋼橋が29橋と多くなっています(PC橋3橋、RC橋2橋)。路線別では、国道9号でⅢ判定が24橋、国道54号で10橋です。


橋梁の点検結果

 トンネルは、Ⅰ判定2トンネル(7%)、Ⅱ判定19トンネル(66%)、Ⅲ判定8トンネル(28%)です(Ⅳ判定はなし)。Ⅲ判定の工法別、建設年度別、路線別の内訳は、矢板工法7トンネル、1960年代5トンネル、国道9号4トンネル、国道54号4トンネルとなります。


トンネルの内訳と点検結果

 ――点検結果に基づいた対策の進捗状況は
 藤田 橋梁では修繕が必要なⅢ判定34橋のうち、21橋が完了しています。残り13橋は設計を含め修繕に着手しています。トンネルは8トンネルすべてが完了しています。

 ――2巡目点検で損傷が進んでⅢ判定になっている橋梁は出てきていますか
 藤田 修繕した橋梁でⅢ判定になっている事例はありません。予防保全に移行しつつあり、今年度からは2巡目点検でⅡ判定となった橋梁も補修設計をかける予定になっています。
 ――橋梁の全体的な損傷状況について
 藤田 桁端部からの漏水による損傷が多くなっています。国道54号ではかなりの量の凍結防止剤を散布していて、その因果関係の研究事例はありませんが、桁端部に錆で穴が開いている状況が過去には見受けられました。今後、そのような損傷が多くなっていくことも考えられます。また、床版の土砂化も見受けられます。
 ――Ⅲ判定の割合が国道9号よりも国道54号のほうが若干多くなっています
 藤田 そうですね。国道9号は山陰道の整備が進めば、交通量の半分程度は山陰道に転換していきますので、補修がやりやすくなります。国道54号も松江自動車道ができて交通が転換していますが、松江自動車道が雪で通行止めになった場合は国道54号を使うことになりますので、しっかりと補修を進めていかなければならないと考えています。
 ――具体的な損傷事例と対策について教えてください
 藤田 1965年架設の国道54号桜橋は点検結果ではⅡ判定でしたが、桁端部からの漏水により、主桁、横桁、支承、アンカーボルトの腐食と防食機能劣化が発生していました。桁については当て板補修と塗替え、支承については防錆と沓座モルタル補修工を行い、下部工も断面修復とひび割れ補修を実施しています。


桜橋の損傷と対策後

 ――トンネルでは
 藤田 国道54号赤名トンネル(1964年建設)は県境部にあり、凍結融解でひび割れが発生して修繕を繰り返し行ってきました。2019年度の点検では前回点検から新たに発生したひび割れは少なかったですが、最大幅0.7mm程度のひび割れが認められました。また、ひび割れ箇所の多くの導水工が設置されていて、漏水やうきなどの損傷が発生していたことから、Ⅲ判定となりました。
 今年度に補修工事を予定しており、その内容は漏水対策工(線導水、導水桶)、はく落対策工(アラミド繊維シート、FRPメッシュ)、断面修復工などとなります。


赤名トンネルの現況と損傷(中央:うき/右:漏水)

 ――地山の影響は考えられませんか
 藤田 地山による変状はなく、覆工の経年劣化によるひび割れ、漏水と考えています。
 ――床版防水の施工状況は
 藤田 全体の施工状況は把握していません。舗装修繕や床版補修時に防水工もあわせて行っています。

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