大田・静間道路 長久地区で地滑り対策
静間川橋 たわみ処理は大型クレーンとジャッキングホイストを搭載した門型設備を用いる
――大田・静間道路は
藤田 開通済みの大田中央・三瓶山IC(大田市久手町刺鹿)から大田市静間町までの延長5.0kmの道路で、2023年度の供用を目指しています。現在は改良工と橋梁上部工を推進中です。ほぼ中間地点の長久地区が地滑り地帯となっているため、対策としてグラウンドアンカーや抑止杭を打設しています。長さは両方とも15m程度です。
大田・静間道路および静間・仁摩道路の概要図
――対策を行っている延長は
藤田 約300mです。
――グラウンドアンカーと抑止杭はそれぞれ何本打設しているのですか
藤田 アンカーは約300本、抑止杭は約90本となります。
長久地区の地すべり対策工
――構造物については
藤田 橋梁が5橋(総延長約0.3km)で、トンネルはありませんので構造物比率は7%です。鳥井高架橋(橋長42m、PC単純コンポ桁橋)が完成して、3橋が上部工施工中、1橋が下部工施工中です。
鳥井高架橋
――施工上、特徴のある橋梁は
藤田 大田市内を流れる静間川に架かる静間川橋があります。橋長195mの鋼2径間連続非合成箱桁橋です。駒井ハルテックの施工ですべて送出しにより架設をしましたが、送出し支間長が96.4mで国内でも最大級のものとなりました。
静間川橋 橋梁一般図
――送出しの詳細は
藤田 A2橋台側から2回に分けて実施しています。1回目は2020年9月から1回目の主桁地組を行い、12月11日から送出しを開始して、手延べ機先端がP1橋脚から30mA1橋台側の地点に到達した同月19日に完了しました。2回目は、1月に残りの主桁地組を行い、2月22日から開始して、25日に手延べ機がA1橋台に到達し、3月5日に完了しています。
送出し開始前と第1回送出し完了時
第2回送出し完了時
――それぞれの送出し長は。また、主桁重量および送出し重量についても教えてください
藤田 1回目が約102m、2回目が約138mです。1回目の主桁重量は668t(101.6m)で、手延べ機(75m、195t)などを合わせた送出し重量は884tとなります。2回目は、主桁重量566t(93.7m)で送出し重量1,450tです。
――100mを超える送出しだと、たわみ量も大きくなりますね
藤田 P1橋脚とA1橋脚での手延べ機先端のたわみ量は各2.5mでした。たわみ処理は、P1橋脚では200t吊クローラクレーン、200t吊オールテレーンクレーンの2台を使用して、A1橋台では交差する市道の通行止めを回避するために、ジャッキングホイストを搭載した門型設備を用いて施工しました。
P1橋脚(左写真)とA1橋台(右写真)でのたわみ処理
――平面線形と勾配は
藤田 平面線形はR=1,000で、縦断勾配はA2橋台からA1橋台に向けて上り5%となっています。その点でも難しい施工となりました。平面線形については、手延べ機の横移動作業を各受点で行うとともに、軌条設備もテーパー加工した鉄板を製作してH鋼の継ぎ目ごとに曲げて組立てを行いました。勾配については、最適な送出し勾配を検討し、上り1%勾配で送出しを行いました。
上空から見ると曲線桁であることがよくわかる(駒井ハルテック提供)
――降下量は
藤田 A1橋台で5.0m、P1橋脚で6.7m、A2橋台で8.2mです。
桁降下作業は4月に完了した。上写真2枚は降下完了後(大柴功治撮影)
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