保全分野を中心とした事業拡大と地方自治体への貢献に取り組む
IHIインフラ建設 森内昭新社長インタビュー
株式会社IHIインフラ建設
代表取締役社長
森内 昭 氏
東名高速道路の向田川橋では耐震補強と鋼桁補強工事
中央高速道路の深沢橋では床版取替工事を施工
――最近の特徴的な工事、施工中で特徴的な現場は
森内 一昨年になりますが、IISが施工した関空連絡橋の復旧工事の一部を担当しました。架替えを行った桁に隣接するりんくうタウン側の桁復旧工事です。タンカーの衝突部分の損傷とともに、めがねタイプの落橋防止装置が破損し、その結果、桁端部もかなり変形していました。IISと協力体制を築き、損傷部を矯正して当て板補強を行うなどの対策を、架替え桁の架設までの約4か月の短期間で完了しました。
関空連絡橋 架替桁に隣接する桁の損傷
復旧工事完了
現在は、NEXCO中日本発注の東名高速道路・向田川橋他1橋鋼橋補強工事と、同発注の中央自動車道・深沢橋床版取替工事を受注しています。向田川橋他1橋鋼橋補強工事では、工事対象の一つである根古屋橋(橋長240m、鋼トラス橋)で足場設置が終わったところです。深沢橋(橋長149m、鋼トラス橋)は、設計中で施工は2021年秋からの予定です。
根古屋橋全景と足場上(桁の腐食が目立つ)
――PC床版の新設の現場は
森内 今年度開通予定の名古屋環状2号線・名古屋西JCT~飛島JCT(仮称)間にある春田3高架橋(橋長191m、鋼3径間連続細幅箱桁)の床版工事などを施工しています。本工事は、中部地方整備局発注で、工期は10月20日までですので、まもなく完成です。
春田3高架橋の床版工事
8月1日からフレックスと在宅勤務制度を正式に規定化
今年度から新入社員を対象に構造工学を学ぶ研修を開始
――働き方改革の取組みについて教えてください
森内 全社的な活動で働き方を変えることに取り組んでいます。昨年度は、「ハッピーワークキャンペーン」と題して、ワークライフバランスを考えて余暇を充実させることに取り組みました。今年度は昨年度の活動に加えて、業務の改善や“断捨離”を全社的に進めていきます。新型コロナの影響もありますが、社員の移動を減らして、オンライン会議などを積極的に活用するようにしています。
週休2日制についても、機械系のIHIグループでありその方針に則っていますので、同業他社よりは早く進んでいると思いますが、より確実に実現できるようにしていきます。
また、同じく新型コロナ対策も含めて、8月1日からフレックスと在宅勤務制度を正式に規定化して、よりフレキシブルな働き方ができるようにしました。
――在宅勤務制度はどのようなものですか
森内 本社など事務所通勤者を対象に、基本的には制度を活用したいという意思があり、申請があれば利用可能です。週1日の出勤義務があります。また、月単位での更新としています。目標として事務所部門の40~50%は在宅勤務にしたいと思っています。
――担い手の確保では
森内 残業は減りつつありますが、さらに効率化して心身ともに余裕を持てる仕組みを作っていくことが必要です。担い手確保という点では、弊社の協力会社、あるいは地元企業も厳しい状況になっていると思いますので、何らかの形でサポートできる技術開発や仕組みづくりとかが出来ないかとも考えています。
新入社員の確保の面では、幅広い学部・学科の学生の採用を進めています。最近では、工学部出身でも構造工学専攻の学生は少なくなっていて、総合系や計画系の学生を多く採用しています。
しかし、当社は構造系の仕事が多いので、今年度からの取り組みとして、構造工学を勉強するシステムを作成して、入社1年目の社員に対しては構造をマスターしてもらうことを始めました。構造工学を学んだことのない新入社員が、いきなりOJTでは、教わる側、教える側ともに難しいところがありますので、まずは根幹である構造工学を理解してもらうために、会社として教育することにしました。
――研修の期間や形式は
森内 当初は2週間程度の合宿形式を予定していましたが、今年度は新型コロナの影響でオンライン形式に変更して行うことを計画しています。
――対象は1年目の社員のみですか
森内 今年度は1年目のみですが、若手の社員に対しても検討をしています。
――最後に、ご趣味や気分転換の方法は
森内 街並みを見て歩くことが気分転換になっています。仕事柄、地方に行く機会が多いので、知らない街を歩くことはおもしろいです。時間の許す限り、市街地から郊外まで、“ブラタモリ”的に歩いています。
――ありがとうございました
(2020年9月2日掲載 聞き手=大柴功治)