姫路北BP 切盛土構造で整備
――姫路北BPは
磯部 国道29号姫路北バイパスでは、姫路市相野地先~林田町六九谷地先の延長6.2kmでバイパス及び現道拡幅を行っています。同区間の現道部は1日あたり2万台以上の交通量があるため交通混雑が起きており、その緩和、交通安全の確保等を目的としています。2011年に一番南側に位置する姫路市相野~同市林田町下伊勢間(2-1工区)延長1.5kmを暫定2車線で供用しています。
現在は残る4.7kmのうち、姫路市林田町下伊勢(2-2工区、延長1.4km)で用地買収を進め、姫路市林田町下伊勢~同市林田町六九谷(3工区、延長3.3km)は予備設計を行っています。
――橋梁は
磯部 ほとんどが現道拡幅、切土ないし盛土構造です。橋梁は大津茂川、林田川の渡河部で整備する予定です。
姫路BP苫編跨線橋側道整備事業
北側に新設橋を設置、南側の既設橋は撤去し架替え
――姫路BPの苫編跨線橋側道整備事業は
磯部 JR山陽本線を跨ぐ姫路BPの側道橋として、北側に新設橋を設置し、供用している南側の苫編跨線橋を撤去して架け替えるものです。2019年度から北側新設橋の下部工事に着手しています。跨線部の架設はJRに工事を委託する予定です。
――橋長および形式は
磯部 新設橋部分は238mの鋼6径間連続合成箱桁橋です。
――既設橋はなぜ架替えるのですか
磯部 姫路BPは1975年に全線暫定供用されました。建設当時は周囲が農地であったことから、現在供用している跨線橋は、農業用車両の通行を目的として建設されており現在の道路構造令には適合していません。現在は区画整理に伴い住宅地が増加し、自動車交通の需要が増加していることから、地域の利便性向上や通学児童等の安全・安心の確保のため、跨線橋を架け替えます。
加古川BP 加古川西ランプ(上り)を改良
織り込み長を長くし、事故、渋滞を削減
――加古川BPのリニューアル事業は
磯部 加古川西ランプ(上りOFF)は、ランプから降りてきた車と側道からきた車が直近の交差点付近で織り込むことが原因で渋滞や事故が起きているため、合流箇所から交差点までの織り込み長を長くして、安全かつ円滑に合流出来るための改良設計を行っています。
また、道路構造令に適合するようにOFFランプの減速車線長を70mから130mにする予定です。現在、改良に向けての地元調整、関係機関協議を実施中しています。
国道29号波賀町防災 戸倉地区で線形改良を施工
――国道29号波賀町防災事業について
磯部 波賀町防災事業は、地形、気象条件が厳しく、異常気象時通行規制区間を指定している宍粟市波賀町域で安全で確実な交通を確保するため、兵庫県宍粟市波賀町日見谷~同市波賀町戸倉において線形改良やのり面対策等を実施しています。現在は戸倉地区で線形改良工事を進めています。
保全 橋梁は432橋、トンネルは13本を管理
供用後50年経過橋梁は161橋と3分の1超
――次に保全について聞きます。まず管内の橋梁内訳から教えてください
磯部 管内では432橋を管理しています。
橋種別は、PCが189橋、RCが122橋、鋼が99橋、混合橋22橋です。
供用年次別は、1960年以前が25橋、61~70年が136橋、71~80年が162橋、81~90年が58橋、91~2000年が27橋、01~10年が8橋、11~20年が16橋です。供用後50年以上経過した橋は、161橋と全体の3分の1を超えています。
延長別は、10m未満が111橋、10m以上100m未満が232橋、100m以上500m未満が79橋、500m以上が10橋です。
路線別では、国道2号BPが259橋、国道2号が42橋、国道29号及び国道29号BPが131橋です。
――同様にトンネルの内訳は
磯部 トンネルは13本を管理しています
工種別は、矢板工法が9本、NATMが4本です。
完成年次別は、1971~80年が3本、81~90年が7本、91~2000年、01~10年、11~20年が各1本です。
延長別は、100m以上500m未満が10本、500m以上1000m未満が1本、1000m以上が2本です。1000m以上は、国道2号BP城山トンネルで、上りが1,163m、下りが1,171mです。1985年に矢板工法で建設されました。
路線別は、国道2号および国道2号BPが10本、国道29号及び国道29号BPが3本です。
橋梁 Ⅲ判定が20橋
鋼I桁、鋼箱桁、RC床版桁、PCT桁など
――橋梁の健全度状況は
磯部 定期点検の結果、診断された橋梁の健全度は、Ⅰ判定が256橋、Ⅱ判定が156橋、Ⅲ判定が20橋となっています。
――Ⅲ判定の詳細な内訳は
磯部 主な橋梁としては、国道2号BPの姫路大橋(鋼部材の疲労亀裂)や曽根高架橋(塩害、ASR、グラウト充填不足)などが該当します。
対策区分の橋種別では、C2判定が顕著に多いのは鋼I桁橋および鋼箱桁橋です。次いでRC床版橋、PCT桁橋となっています。M判定はPCT桁橋が最も多く、鋼I桁橋、RC床版橋が続いています。S1判定は鋼I桁橋が最も多く、PCT桁橋が続いています。
部材別では、C2が最も多いのは主桁、次いで支承、伸縮装置、床版であり、S1は主桁が突出しています。
鋼桁 桁の塗膜割れや疲労亀裂
PCT桁 ひび割れや漏水および遊離石灰
――これらの損傷はどのようなものですか
磯部 鋼桁は、桁の塗膜割れや疲労亀裂などです。PCT桁はS1判定が60箇所あり、その多くがひび割れや漏水および遊離石灰です。
支承と伸縮装置は桁端部からの漏水および腐食が主な損傷です。
――鋼桁の損傷は、疲労亀裂が多いでしょうか、単なる塗膜割れなのでしょうか
磯部 点検では、塗膜割れが多く確認されており、さらに詳細調査を行い疲労亀裂が生じているかいないかを確かめているところです。
――PCT桁のひび割れとは桁本体ですか?
磯部 主として、主桁及び橋脚梁部下面で確認されています。
トンネル 3本がⅢ判定
城山トンネル(上り)、山田トンネルと兵坂トンネル
――トンネルの健全度状況は
磯部 Ⅱ判定が10本、Ⅲが3本です。Ⅲ判定のトンネルは城山トンネルの上り線と山田トンネル、兵坂(ひょうさか)トンネルが該当します。
――Ⅲ判定の具体的な損傷状況は
磯部 覆工コンクリートの目地部の漏水や浮きとコンクリート舗装の剥離です。
耐震補強 未耐震は64橋
優先対策橋梁は7橋で1橋の施工が2019年度完了
――耐震補強の進捗状況、2019年度および2020年度の施工数量は
磯部 432橋のうち、18年度末で耐震補強対策が完了および補強不要な橋梁は368橋です。工事中も含む未耐震は64橋です。その内、今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が26%以上の地域にある優先して補強しなくてはいけない橋梁は7橋です。
この7橋は、19年度に1橋が完了、20年度に工事予定の橋梁は2橋です。残り4橋も2021年度末までに対策を完了させます。20年度に工事予定の橋梁は、玉手西高架橋上り線、魚橋第1高架橋上り線(いずれも国道2号姫路BP)です。
――耐震補強設計は残り4橋も完了しているのですか? また耐震補強のメニューは
磯部 4橋とも設計を完了しています。メニューは橋脚補強2基、支承補強78基などです。
――耐震補強や補修補強工事は不調不落が目立ちますが、管内工事でそうした事態は起きていませんか?
磯部 一部で不調不落もありましたが、発注規模の大規模化や時期の工夫を行い、受注していただいております。
――今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が26%以下の地域にある橋梁の耐震補強について、2019年度の施工実績と2020年度の施工予定を教えてください
磯部 19年度は、3橋で耐震補強を実施しています。20年度は4橋を予定しており、具体的には支承補強94基、落橋防止21基などです。
橋梁補修 3橋で当て板、1橋で支承補修
残る5橋も設計は完了
――橋梁の長寿命化修繕計画に基づいた対策の実施状況は
磯部 15年度に点検した橋梁のうち、健全度Ⅲは7橋ありますが、5橋で対策を完了しています。20年度に2橋(松尾東高架橋下り線、山崎大橋)で当て板補修を行います。
16年度に点検した橋梁のうち、健全度Ⅲは6橋ありますが、4橋で対策を完了しています。残り2橋は、20年度に原2橋側歩道橋上り線で当て板補修、21年度に亀山5号高架橋下り線で支承補修を行います。
――2017年度点検橋梁でも健全度Ⅲが5橋ありますが、この対策進捗状況は
磯部 補修設計は完了しており、順次発注していく方針です。
――改めて、ここ数年の補修補強実績と、2020年度の予定について
磯部 橋梁補修や耐震補強工事は、2016年度5件34橋、17年度7件21橋、18年度6件13橋、19年度2件9橋で発注しています。20年度は4件6橋で発注予定です。