橋梁2,835橋とトンネル5施設を管理
橋梁の定期点検結果では判定区分Ⅰが約8割を占める
――管理している橋梁数とその内訳は
藤岡 2,835橋を管理しており、橋種別ではRC橋1,903橋(溝橋928橋含む)、PC橋762橋、鋼橋110橋、石橋10橋、複合橋・その他50橋で、コンクリート橋が全体の94%を占めています。供用年次別では、50年以上が595橋、40~50年が630橋、30~40年が412橋、20~30年が340橋、10~20年が121橋、10年以下が30橋で、不明が707橋となっています。延長別では、100m以上が51橋、50~100mが62橋、15~50mが259橋、5~15mが926橋、5m未満が1,537橋です。路線別では、補助国道90橋、主要地方道96橋、一般県道248橋、市道2,401橋となります。
――トンネルは
藤岡 市道上代1丁目島崎6丁目第1号線の島崎トンネル2本、県道並建熊本線の万日山トンネル2本、市道新町3丁目島崎7丁目第1号線の藤崎台隧道の5施設となります。延長210mの島崎トンネルは開削工法で掘削し、2008年に供用しています。延長442mの万日山トンネルはNATM工法で掘削、2011年の供用、延長182mの藤崎台隧道もNATM工法(一部開削工法)で掘削、1974年の供用です。
――橋梁とトンネルの定期点検結果について教えてください
藤岡 橋梁では、判定区分Ⅰが2,217橋(78%)、Ⅱが473橋(17%)、Ⅲが144橋(5%)で、Ⅳはありませんでした。トンネルでは、Ⅱが4施設、Ⅲが1施設となっています。
――点検を進めてみての橋梁の劣化状況は
藤岡 コンクリート橋では、主桁部のひび割れ、鉄筋露出などの損傷が発生しています。特に外桁において地覆から雨水等が伝うことに起因するコンクリート劣化・鉄筋露出が見られています。
鋼橋では、橋台付近で主桁鋼材の腐食等が発生しているとともに、全体的に支承の損傷も確認されています。
コンクリート橋の損傷事例(県道熊本嘉島線・外城橋)
鋼橋の損傷事例(県道田迎木原線・釈迦堂橋)
――トンネルはいかがでしょうか
藤岡 特段顕著な損傷はありませんでしたが、覆工コンクリートの経年劣化に起因するひび割れなどが発生しています。Ⅲ判定となった1施設は万日山トンネルで、下り線に幅1.5mmのひび割れをともなう0.1×0.4mのうきが発生していましたが、すでに補修を完了しています。
――橋梁の長寿命化修繕計画に基づいた対策の進捗状況を教えてください
藤岡 2014年3月に計画を策定して、2018年12月に更新しています。今年度を含む直近3年間の実績では、2017年度に3橋、2018年度に9橋、2019年度に10橋(予定)となります。今年度の10橋については、主に断面修復と塗装塗替えを行っています。
判定区分Ⅲの橋梁については144橋のうち、今年度末時点で29橋の修繕が完了予定で、2023度中にすべての修繕を完了すべく、単年度あたり約35橋の修繕を実施予定です。
――判定区分Ⅲの橋梁の具体的な修繕事例は
藤岡 琴平二丁目第2号橋(橋長7m)は、外桁の鉄筋露出が発生し、断面修復で補修を完了しています。城ノ後第3号橋(橋長11m)は主桁端部に腐食が発生し、今年度に塗装塗替えを予定しています。
南熊本5丁目琴平2丁目第1号線(その他市道)・琴平二丁目第2号橋 外桁の損傷と修繕後
琴平二丁目第2号橋全景 修繕前と修繕後
川尻町八幡町第4号線(その他市道)・城ノ後第3号橋の損傷状況
――床版防水工の施工状況は
藤岡 床版防水設置状況は不明です。過去事例では、2013年度に白川を渡河する大甲橋(橋長106m)でシート系床版防水工を施工しています。なお、今年度補修工事を実施する10橋については8橋の床版防水工を実施しました。次年度は約30橋の修繕を行う予定であり、床版防水を基本に現場の状況を踏まえ実施していく予定です。
――塩害やASRによる劣化は発生していますか
藤岡 塩害による顕著な損傷事例はありません。
アルカリ骨材反応による劣化は、今年度補修設計を行っている全33橋のうち、現時点で車庫橋(橋長4m)と三の井手橋(橋長5m)の2橋で確認されています。
損傷状況は、コンクリートのひび割れや剥離、鉄筋露出となっています。損傷に対しては、その進行具合と進行性を考慮の上、ひび割れ注入、表面含侵、表面被覆などの対策工法を検討します。また、南区城南町の火の君橋(橋長93m)でもアルカリ骨材反応対策のために、今年度にシラン系含浸材による表面含侵工を実施予定です。