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橋梁の災害復旧工事は今年度で完了予定

熊本県 熊本天草幹線道路 (仮称)第二天草瀬戸大橋の建設が進捗

熊本県
土木部長

宮部 静夫

公開日:2020.02.28

熊本天草幹線道路 本渡道路は2022年度の完成を目指す
 (仮称)第二天草瀬戸大橋では景観面で住民の意向も反映

 ――事業中の路線は
 宮部 90分構想事業で重点的に整備を進めている熊本天草幹線道路があります。起点の熊本市近見町から終点の天草市港町までの延長約70kmの地域高規格道路で、国が熊本市側の約32km、県が天草側の約38kmの整備を行っています。
 県の事業では、2002年5月に松島有料道路(延長約3.3km)、2007年9月に松島有明道路(延長約10km)、2018年5月に三角大矢野道路(延長約3.7km)を供用しました。
 2013年度に本渡道路(延長約1.3km)に着手して、2022年度の完成を目指しています。2019年度には大矢野道路(延長約3.4km)に事業着手し、現在設計委託中です。


熊本天草幹線道路概要図

 ――本渡道路の構造物比率は
 宮部 延長1,320mのうち、(仮称)第二天草瀬戸大橋の橋長が1,148mで、構造物比率は約87%となります。


本渡道路概要図

 ――橋梁の詳細について
 宮部 本橋はアプローチ部、航路部など、6つのグループで構成されています。上部工形式は、天草市港町側から、PC5径間連続中空床版橋(153m/G1工区)+鋼4径間連続細幅箱桁橋(200m/G2工区)+鋼4径間連続細幅箱桁橋(191m/G3工区)+鋼3径間連続鋼床版箱桁橋(236m/G4工区)+PC6径間連続中空床版橋(180m/G5工区)+PC5径間連続中空床版橋+PC単純中空床版橋(188m/G6工区)です。G2工区が本渡港渡航部、G4工区が本渡瀬戸渡航部となります。
 景観面では、住民の方の意向も反映させるべくオープンハウスを設置しました。そこでの意見を反映して、上部工に斜ウェブや橋脚に緩やかな曲線のバチ型形状を採用して、上部工との一体感を確保するとともに煩雑さや圧迫感を軽減させています。上部工の塗装色も現地と調和するようにグレー系を採用しました。


(仮称)第二天草瀬戸大橋 概要図

本渡瀬戸渡航部の完成イメージ図

 ――施工状況は
 宮部 橋脚・橋台全29基のうち、1月末時点で3基(P6・P9・P10)の橋脚が完成していて、10基が施工中になっています。今年度はさらに5基の工事に着手を予定しており、残りについては来年度以降の着手予定です。



P6橋脚の施工。塩害対策でエポキシ樹脂塗装鉄筋を採用している

完成したP6橋脚

P9橋脚の施工

P9橋脚(手前)とP10橋脚(奥)

 ――基礎工について、その形式と施工にあたって課題となる点がありましたら教えてください
 宮部 P6橋脚などは海域部における施工であり、支持層の深度や土質条件から鋼管矢板基礎を採用しています。
 ――下部工の塩害対策については
 宮部 示方書に基づき、鋼材の最小被り90mmを確保するとともに、エポキシ樹脂塗装鉄筋を使用することで対策を図っています。
 ――上部工については
 宮部 東町地区のG3工区は昨年10月に契約を締結し、現在、桁の製作を行っています。残りの工区については、発注準備中となっています。


(仮称)第二天草瀬戸大橋 施工会社一覧

 ――創造的復興のひとつとして取り組まれている益城町での県道熊本高森線の4車線化事業は
 宮部 熊本市と益城町の境から国道443号までの延長約3.8kmを4車線化する事業です。都市計画道路としては、益城町区間の益城中央線(延長約3.5km)、熊本市区間の水前寺秋津線(延長約0.3km)となります。この中には、土地区画整理事業で4車線化をする区間が約700mあり、通常の街路事業では約3.1kmを整備します。


益城町被災市街地における復興事業の概要

 この区間は現道の幅員が10mと狭く、地震発生時の緊急・応急活動に支障が生じるとともに、交通量も多い箇所で20,000台/日となっていて渋滞が発生しています。これらを解消するために4車線化を進め、同時に土地区画整理事業で適切な公共用地を確保し、安全・安心な住環境を確保するため、拠点性や地域性に応じた面的整備を行っていきます。本来、土地区画整理事業は市町村が主体となって行いますが、甚大な被害が発生して速やかに復興をしなければならないことから、県で取り組んでいます。一番被害が大きいかった益城町の復興を図ることが、熊本地震からの創造的復興のシンボルともなります。


甚大な被害が発生した益城町

 ――事業の進捗状況は
 宮部 街路事業の約3.1kmについては、2018年度に工事着手して約600mの区間を施工中です。用地契約率は昨年10月末時点で約72%となっています。事業区間は、街路事業が2025年度、土地区画整理事業が2027年度までです。


4車線化事業の施工状況

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