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橋梁の災害復旧工事は今年度で完了予定

熊本県 熊本天草幹線道路 (仮称)第二天草瀬戸大橋の建設が進捗

熊本県
土木部長

宮部 静夫

公開日:2020.02.28

 2016年4月に発生した熊本地震からまもなく4年が経とうとしている。熊本県では555件の道路災害が発生し、橋梁災害は40件に達した(県施工分)。地道で着実な災害復旧を進めた結果、県所管のものはすべて発注が完了し、完成を待つ段階となった。今後は、現況復旧から“創造的復興”に向けて梶を切っていくなかで、県としての重点路線である熊本天草幹線道路の整備状況や保全への取り組みについて、土木部長の宮部静夫氏に聞いた。

橋梁災害40件のうち32件が復旧完了
 全面通行止め箇所は国道325号を含め4箇所に

 ――県で管理されている道路、橋梁の復興状況からお願いします
 宮部 熊本地震からこの4月で4年が経ちますが、発災後はいたるところで道路が寸断されたり、川が欠壊したりして未曾有の災害となりました。県管理と市町村管理の被災箇所は合計5,000箇所で、被災金額は1,000億円を超えました。
 現在、災害復旧関連については、熊本県土木部が施工するものに関してはすべて発注が完了し、完成を待っている段階で、ほぼ目途が立った状態です。市町村については、若干残っていますが、徐々に件数が減ってきています。
 道路の災害件数は555件ありましたが、2019年9月末時点で528件が完了して、27件が残っています。橋梁については災害件数40件に対して、32件が完了しています。


県管理の道路・橋梁の復旧状況(熊本県提供。以下、同)

 ――前回取材時(2016年11月21日)には全面通行止めが19箇所でしたが、現在は
 宮部 4箇所です。そのうち2箇所は、直轄代行で事業を行っている国道325号の阿蘇大橋と南阿蘇橋です。県道熊本高森線の俵山ルートは直轄代行で2019年9月に全線供用させていただきましたが、同線の益城町杉堂~西原村堺界では落石などの被害が大きく、全面通行止めを継続しています(2020年1月26日開通)。さらに、県道益城矢部線の御船町玉来~田代で道路崩壊などのために1箇所残っています。
 ――未完了の橋梁は8橋ですが、現在の状況は
 宮部 県道菊池赤水線の車帰橋(橋長55.1m、鋼単純鋼床版箱桁橋)と県道河陰阿蘇線の上無田橋(橋長4.0m、PC単純床版橋)は、災害復旧工事として施工中で今年度内の完成を目指しています。
 車帰橋については、橋梁周辺地盤が地震により側方移動し、橋台が前面に移動したことにより、上部工とパラペットが衝突後、橋台の変位が拘束され、パラペットおよび竪壁にクラックが発生しました。そのため、マイクロパイルによる増杭を行い、コンクリート巻き立てによる橋台の復旧を行いました。その他、支承再設置と落橋防止構造の復旧を行っています。



車帰橋の被災状況

車帰橋復旧工事① 左:マイクロパイル工法による増杭/右:フーチング増打ち

車帰橋復旧工事② 左:パラペット復旧/右:旧支承撤去

 県道熊本高森線の福富橋(橋長8.4m、プレテン単純床版橋)は、災害復旧工事の対象ではなく、熊本高森線の4車線化事業で対応を行っています。
 その他の5橋は橋梁の復旧が完了し、現在仮橋の撤去工事等を行っています。今年度内にはすべての橋梁本体の復旧を完了し、供用を開始する予定です。


橋梁災害復旧工事一覧

254路線、3,521kmを管理
 「創造的復興」に軸足を移して事業を推進

 ――次に熊本県が管理されている道路と整備事業について伺います。まず、管理道路の現状は
 宮部 熊本県内の道路は、41,932路線、26,060kmで、道路種別では、高速自動車国道が2路線、136km、国道が23路線、1,250km、県道が252路線、2,947km、市町村道が41,655路線、21,727kmです。そのうち254路線、3,521kmを県が管理しています。
 熊本県内の道路の改良率は、県道、市町村道で全国平均や九州平均を下回っています。国道については、全国が92.7%に対して、熊本県は96%となっています。


熊本県内の道路ネットワーク

 ――道路整備に対しての方針および課題は
 宮部 発災後は災害復旧を重視してきましたが、それも県としては目途が立ちました。県政の重要事項として、①被害に遭われた方の痛みの最小化、②知事が提唱している「創造的復興」、③創造的復興のさらなる発展――という三原則でこの4年間進めてきましたが、今後は、現況復旧から創造的復興に軸足を移しながら事業を進めていこうと考えています。
 例えば、国道57号(北側復旧ルート)です。国道57号の現道を復旧するだけでなく、新しいトンネルを掘削して復旧ルートをつくりダブルネットワークを確保していきます。
 国道325号の阿蘇大橋も架替えを進めていますが、県では歩道を併設します。原形復旧だけでしたら車道しかありませんが、そこに片側だけですが歩道を付けることで、これも創造的復興のひとつの形になると考えています。
 また、被害の大きかった益城町では県道熊本高森線を2車線から4車線にするとともに、県が事業主体となって土地区画整備事業を行い、街づくりを進めていきます。
 課題では、県道の改良率が全国および九州の平均を下回っていますが、単純に改良率を上げていくことは考えていません。
 県の重要な構想として、「150分構想」と「90分構想」があります。150分構想は熊本県と九州の他県の主要都市(福岡、大分、宮崎、鹿児島など)を150分以内で結ぶもので、長年取り組んできました。その具体的なものが高規格幹線道路や地域高規格道路となります。
 90分構想は県庁と主要市役所を90分で結ぶというものですが、現在唯一90分で結べていないのが天草です。県内の均衡的発展を進めていくためにも90分構想は県のひとつの大きな柱であり、重点的に整備を進めています。改良率を上げるために、いたるところで整備を行うのではなく、選択と集中をキーワードとして整備を進めていきます。

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