道路構造物ジャーナルNET

2019年わが社の経営戦略 大手ファブ トップインタビュー ②駒井ハルテック

積極的な設備投資を継続 新しい勝ち方に果敢に挑戦

株式会社駒井ハルテック
代表取締役社長

田中 進

公開日:2019.09.11

 当NETの姉妹メディアである「週刊 鋼構造ジャーナル」では、毎年、橋梁を主事業のひとつと位置付ける鋼構造ファブリケーター各社のトップに経営戦略を尋ねるインタビュー記事を掲載している。その内容について、数回に分けて転載していく。第1回は、駒井ハルテックの田中進社長と川田工業の川田忠裕社長の記事を掲載する。

 ――前年度の業績は
  田中  18年度の業績は連結ベースで売上高440億200万円、営業利益20億1,200万円と増収増益。黒字確保は6期連続となった。前年度は、17年4月にスタートした中期経営計画2017の2年目として、将来に向けた成長サイクル構築のためのステップアップに取り組み、営業利益は最終年度目標値を1年前倒しで達成することができた。
 ――今年度の業績目標は
  田中  連結売上高390億円、営業利益13億円を見込む。昨年度は大型再開発案件の発注時期のずれ込みや、それに伴う受注競争の激化などで受注が伸びず、その影響で今年度後半の工場稼働が一時的に谷間に入る。しかし、現在も年度内物件の営業を強化しており、少しでも状況が改善できるよう取り組んでいる。また、20年度以降の山積みが非常に高い状態が見込まれるので、今年度内先行製作などの対策により工場稼働の平準化に取組む。
 ――今年度の設備投資計画は
  田中  ここ数年は設備投資を積極的に行い、老朽化設備の更新に加え、新規設備の導入、一部製造ラインの見直しなどを推進してきた。特に最近のICT関連設備の進化は目覚ましく、その導入が生産性向上に大きく寄与している。今年度もそうした設備の追加・増強を含め5億円規模の投資を計画している。またハード面の拡充とともにソフト面、特にBIM・CIMの対応強化にも継続的に取り組み、工程管理などの業務におけるICT、IoT技術の活用も推進していく。
 ――新分野、技術開発等の取り組みについて
  田中  企業の成長を目指す上で収益基盤の多様化は重要項目のひとつであり、既存の橋梁、鉄骨、環境の三事業に次ぐ収入源の創出が大きなテーマのひとつと捉えている。例えば、スマートシティやスマートインフラ、地域創生事業等においてインフラ関連への新たな需要が生まれる可能性が大きいと予測し、必要に応じて異業種との技術・業務提携も視野に入れながら対応を検討していく。また新技術の開発・実用化についても総合力の強化につなげるべく、スピード感を持って戦略的に取り組んでいく。さらに、生産のシステム化、次世代工場化に向けた取り組みとして、BIM・CIM、VR、AIなどの活用を一層推し進めていく。
 ――各部門の課題と戦略は
  田中  橋梁は新設需要が漸減傾向にあり、受注競争も激しさを増している。その競争に打ち勝つため、コスト競争力、技術提案力、積算力、工事成績評価点の向上に努め、それに対応するために技術者の確保とスキルアップ、工法開発、工場の製作設備の拡充などにも注力していく。また一方では、民間案件や老朽化橋梁の長寿命化に向けた予防保全、維持補修工事、大規模更新事業などの受注体制も強化し、橋梁の安定受注、収益確保につなげていく。


伏見柳谷高槻線高槻東道路 仮称成合橋梁上部工事

 鉄骨は当社グループが主に扱う大型再開発案件が数多く計画されており、その内容は大型化・超高層化の傾向を強めている。構造も複雑化し、高級鋼材や極厚材の構成となっており、組立や溶接施工難易度が高くなっている。こうした高難易度の特殊大型鋼構造加工物件は当社グループの得意とするところであり、実績もある。現況をビジネスチャンスと捉え、他社に負けない積極的な営業展開をしていく。
 ――今後の抱負を
  田中  年号が平成から令和へと変わったが、建設業界、そして橋梁・鉄骨業界においても環境が刻々と変化し、まさに新たな時代へと突入している。もはや、これまでのやり方を続けていける時代ではない。
 営業や生産・施工システムなどあらゆる面で従来の延長ではない新しいやり方、仕組みの検討とスピード感をもった実行が求められている。新たな時代に応じて会社も変化し、新しい勝ち方に果敢に挑戦して継続的な成長・発展を目指していく。
(聞き手=田中 貴士、文中敬称略 2019年9月11日掲載)

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