トンネルは大野油坂道路などで13工事
上部工は大和御所道路などで23工事を発注予定
――今年度着手する主要トンネル・橋梁は
橋本 トンネルは、大野油坂道路で上半原トンネル(1,146m)、東市布トンネル(1,167m)、和泉トンネル(2,388m)、川合トンネル(2,550m)、大谷トンネル(2,853m)の5か所を手続き中または契約済みです。すさみ串本道路では有田上第一トンネル(190m)、同第二トンネル(136m)二色トンネル(372m)、雨嶋トンネル(228m)が手続き中または契約済みです。また、有田海南道路で5号トンネル(2,033m)、豊岡道路で戸牧トンネル(610m)、奥瀞道路(Ⅲ期)で1号トンネル(481m)、名塩道路で城山トンネル(311m)がそれぞれ手続き中または契約済みです。
橋梁は、国道161号湖西道路大正寺川橋(橋長255m、鋼7径間連続鈑桁橋)、国道175号西脇北バイパス津万高架橋(P29-P41、延長346m、PC6+6径間連続ポステンホロー桁)、国道24号寺田拡幅寺田高架橋(橋長340m、鋼7径間連続非合成鈑桁橋)、国道42号有田海南道路1号橋(橋長215m、鋼3径間連続合成箱桁橋)、国道158号大野油阪道路新子馬巣谷橋(橋長206m、鋼単純アーチ橋)、同道路此の木谷橋(橋長168.5m、鋼2径間連続箱桁橋)など全部で23件の発注を予定しています。
――主な設計業務発注予定は
橋本 国道163号清滝生駒道路の鹿畑地区橋梁予備設計業務、国道2号大阪湾岸道路西伸部の六甲アイランド地区第五高架橋橋梁詳細設計業務、国道8号米原バイパスの佐和山地区他橋梁予備設計業務などです。
設計済み・設計中構造物一覧①
設計済み・設計中構造物一覧②
設計済み・設計中構造物一覧③
設計済み・設計中構造物一覧④
冠山峠道路の第2号トンネル工事が最盛期
熊野川河口大橋は823㍍、河川内基礎はニューマチックケーソン採用
――施工中の主要橋梁およびトンネルは
橋本 トンネルは、国道417号冠山峠道路の第2号トンネル(4,834m)が最盛期です。また、大野油坂道路では。荒島第1トンネル(2,561m)の掘進が半分程度まで進んでいるほか、同第2トンネル(4,983m)、新長野トンネル(2,766m)も掘進を始めました。下山トンネル(414m)の施工も進めています。日高豊岡南道路の上石トンネル(1,231m)、藤井トンネル(502m)、西脇北バイパスの津万井トンネル(756m)については、トンネル本体の施工を完了しています。
施工中の橋梁・トンネル一覧①
施工中の橋梁・トンネル一覧②
施工中の橋梁・トンネル一覧③
大野油坂道路下山トンネル
大野油坂道路荒島第一トンネル
大野油坂道路荒島第二トンネル
大野油坂道路新長野トンネル
日高豊岡南道路 上石トンネル 最大断面部コンクリート打設前(20190517)
日高豊岡南道路 藤井トンネル(起点側坑口)/冠山峠道路 第2号トンネル_福井側空撮
西脇北バイパス 津万井トンネル覆工コンクリート打設状況/有田海南道路 5号トンネル
橋梁は大野油坂道路で石徹白川橋(橋長82m、鋼単純非合成鈑桁橋+鋼単純非合成箱桁橋)と九頭竜川橋(273m、PC4径間連続箱桁橋)の上部工、此の木谷橋(橋長168.5m、鋼2径間連続箱桁橋)の下部工2基、新多母谷橋(橋長68m、PC2径間連結コンポ桁橋)の下部工1基ほか3件を施工しています。
大野油坂道路九頭竜川橋上部工事
日高豊岡南道路では、山本高架橋(266m、PC4径間連続ラーメン箱桁橋)、祢布川橋(159m、PC4径間連結コンポ橋)の上部工、竹貫川橋(橋長43m、PC単純コンポ桁橋)の下部工2基ほかの工事を進めています。
国道483号豊岡道路では細見川橋(橋長70m、PC2径間連続箱桁橋)の下部工1基ほか1件、国道9号笠波峠除雪拡幅事業では、作山川橋(橋長17.5m、高強度プレテンション方式PC単純床版橋)の下部工2基、湖西道路では天神川橋(橋長177.6m、鋼5径間連続合成少数鈑桁橋)の下部工1基、清滝生駒道路では、下田原跨道橋(87m、鋼2径間連続合成鈑桁橋)の上部工と高山高架橋(橋長257.5m、PC5径間連続箱桁橋)の下部工2基、寺田拡幅では、寺田跨線橋(橋長340m、鋼7径間連続非合成鈑桁橋)の下部工2基を施工中です。
笠波峠除雪拡幅作山川橋下部工事/清滝生駒道路下田原跨道橋橋梁上部他工事
国道163号精華拡幅では、乾谷高架橋(橋長120m、鋼3径間連続合成細幅箱桁橋)、大和御所道路では橿原高田ICランプ橋の下部工22基などや曲川高架橋曽我地区の下部工4基など、国道2号相生有年道路では矢野川橋右岸の下部工2基、西脇北バイパスでは、津万高架橋(P6-P13、橋長208m、PC7径間連続中空床版橋、P21 -P29、橋長221m PC8径間連続中空床版橋、P46-A2、橋長88m、PC2径間コンポ橋)の上部工、名塩道路の生瀬拡幅橋(橋長121.5m、5径間連続鋼床版鈑桁橋)の下部工5基、国道42号田辺西バイパスの芳養高架橋(392m、鋼8径間連続非合成箱桁橋)の上部工、新宮紀宝道路の熊野川河口大橋の下部工3基ほか3件などの工事も進めています。
西脇北バイパス津万高架橋(P6-P13)PC上部工事/同橋(P21-P29)PC上部工事
同橋(P46-A2)PC上部工事/相生有年道路矢野川橋右岸下部工事
名塩道路武庫川張出部下部設置工事/田辺西バイパス芳養高架橋芳養松原地区上部工事
田辺西バイパス芳養高架橋芳養地区上部工事
――特徴ある構造物は
橋本 施工中の構造物で言えば、大野油坂トンネルの荒島第2トンネルです。延長は約5,000mもあります。また冠山峠トンネルも同様に5km弱あり、規模という面では卓越しています。
単独の橋梁では新宮紀宝道路の熊野川河口大橋が抜き出ています。同橋は橋長821mのPC7径間連続箱桁橋です。連続高架橋では橿原高田ICランプ橋や西脇北バイパスの津万高架橋が橋長的には長いと言えます。
新宮紀宝道路熊野川河口大橋P1-P3下部工事
奥瀞道路で瀞峡を超える個所ではチャレンジできる形式の橋も
Ωカーブは対策の必要あり
――道路橋示方書や支承便覧の改定に合わせて対応していることは
橋本 新しい示方書に基づいた設計照査は丁寧にやらなくてはならないですし、設計の照査を複数かけて安全の確認をきっちりと行っています。照査方法が変わったからと言って構造がダイナミックに変わるかというと悩ましいですね。今のところそうした事例はありません。
ただ、大阪湾岸西伸部はもちろん奥瀞道路に計画している橋などは面白い形式になるかもしれません。権限代行事業ですが、V字の深い谷で瀞(どろ)峡という風光明媚な場所を飛ばす橋になりますので、設計上や景観上のチャレンジなどできる箇所だと考えています。
奥瀞道路(Ⅲ期)の概要図と写真撮影位置(黄色の矢印)
現道から撮影した奥瀞道路第3橋架設位置
河川から撮影した奥瀞道路3号橋架設位置
――大阪湾岸道路西伸部では斜張橋のみならず、陸上部でも鋼管集成橋脚やUFC床版などアグレッシブな形式の採用が期待されています
橋本 あくまで一般論ですが、開発が進む新しい技術は取り入れることができるようにいろいろ工夫しなくてはいけないと思います。但し、西伸部の地盤は軟弱であり、また地震があったということもあるので、相当耐震性能は丁寧に行わなくてはならず、チャレンジすることも大切ですが、それと同じくらい信頼性の高い技術を積み重ねていくということも必要であると考えています。
――奈良国道が所管しているΩカーブについては、どのように考えていますか
橋本 線形の厳しさは名前が示す通りで、日交通量も5万台近くあり、実際の事故発生率も高くなっています。構造物も傷んでおり、対策の必要性は大いにあります。抜本的な対策としては道路線形を大幅に変えることですが、一方で山地ですのでトンネルなどの構造対応が大規模にならざるを得ません。設計だけでなく実施方法などコスト面も含めてしっかりと考えなくてはなりません。