仙台南部道路の付加車線設置事業は2021年度の完成目指す
NEXCO東日本仙台工事 2020年度内の完成目指し常磐道の4車線化進める
東日本高速道路
東北支社
仙台工事事務所長
広瀬 剛 氏
クリティカルな現場は阿武隈大橋と鳥の海PAランプ
7月17日に新しいランプ線形に切り替え
――橋梁以外に工程上クリティカルな現場は
広瀬 先ほど紹介した阿武隈大橋の施工と、鳥の海PAランプ部の施工です。
鳥の海PAは平面Y型のランプを有し、現在の2車線を4車線化するにあたって、元のランプを本線より外側に振る必要があり、7月17日に切り替えを完了しています。また、11月末までに本線下のランプ(カルバートボックス)を4車線化に対応する位置まで延伸し、その上に盛土して本線の4車線化を確保します。
切り替え前(施工中)の鳥の海PA(不動テトラ・アイサワ工業JV提供)
切り替え後の鳥の海PA(東日本高速道路提供)
仙台南部 広瀬大橋Ⅱ期線を施工中
現在は橋脚工 架設はトラッククレーン+ベント工法
――仙台南部道路付加車線道路事業で予定している広瀬大橋の橋梁概要と現状は
広瀬 広瀬川渡河部で建設を進めている橋長370.6m、最大スパン46.5m、鋼重680tの鋼8径間連続2主I桁橋です。床版は現場打ちPC床版を予定しています。現在は橋脚を施工中です。架設はトラッククレーン+ベント工法です。現場は堤外民有地(道路堤防より流水側にある民地)があり、必要な箇所を借地して工事用道路を設置しています。
同事業では、広瀬大橋前後の盛土部の拡幅も行っています。
広瀬大橋橋台部
広瀬大橋の橋脚施工状況
――菅生SIC設置事業の進捗状況は
広瀬 用地買収のための幅杭を設置中です。目途としては今年度末には工事発注して、来年度に工事着手したいと考えています。
阿武隈大橋の鋼床版はバルブリブを採用
グース基層部にはSFRCを検討
――事業中の特徴ある構造物は
広瀬 橋梁で言うと、阿武隈大橋の鋼床版は従来のUリブではなく、バルブリブを採用しています。ねじり剛度はUリブの方が上ですが、長期の維持管理を考慮すると、両面溶接による高い疲労耐久性と開断面構造であるのと、点検が容易という点から採用しました。また、交通安全上の凍結防止対策として(従来のグース基層部に)SFRCの必要性を検討しています。
防食面では、吉田橋のJR常磐線横過部に位置する桁に金属溶射を採用する予定です。
また、検査路も従来のように主桁間および橋脚上の配置はもちろん、点検ルートや歩きやすさを考慮して、供用後の点検がし易くなるように配置しています。
防水工施工前の床版表面をできるだけきれいに
――PC床版の防水工はグースアスファルト防水を採用するのですか。いわきでは一部で採用する方針ですが
広瀬 基本はグレードⅡ防水を施工する予定です。但し、床版面をできるだけきれいに仕上げる方法を検討中です。
――例えば
広瀬 床版上面をアスファルトフィニッシャーのようなもので均すことで平滑に仕上げられる機械を用いることを検討しています。人力で仕上げるとどうしても後工程の防水に影響が残る不陸が生じやすく、床版防水工の耐久性を損なうことがあるため施工の工夫をしようというものです。
その上で床版防水工の時期もなるべく寒冷な時期に施工しないようにしたいと考えています。
――ありがとうございました
(2019年7月29日掲載)
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