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ショーボンド建設 補強工事に特化したアドバンテージを今後も生かす

ショーボンド建設株式会社
代表取締役社長

岸本 達也

公開日:2019.03.12

今期は売上高、純利益とも2億円ほど上方修正見込み
 受注残高は毎年積み増しされている状態

 ――現在の売り上げ・利益と中・長期的な経営環境をどのように想定し、どのような経営目標を立てていますか
 岸本 ショーボンドホールディングスの売上高および利益は2018年度(2019年6月期)で、売上高615億円、純利益78億円を見込んでいます。当初見込みに比べて売上高を2億円、純利益を2億円上方修正しました。特筆すべきは受注残高でグラフのように毎年積み増しされている状況です。前期(2018年6月期)から高速道路各社の割合が増えていますが、これは大規模更新事業や耐震補強などの受注が増えているためです。中期的には2021年6月期で売上高670億円、営業利益120億円を目指します。


 中期的には大手ゼネコンや橋梁ファブはリニア建設やNEXCO各社の大規模更新事業があることから、それに注力されるだろうと見ています。ただし長期的には東京オリンピック関連事業や、東日本大震災の復興関連事業が2020年度いっぱいで終息することから、中堅ゼネコンや地場大手ゼネコンなどが保全業界に流入していくことは十分考えられます。当然、入札時の競合は増加し、現在のように総入札の約3割強が受注できるという状況は変わり、受注率は2割内外に落ちることはあると思います。また、長期的には高速道路案件が落ち着いた後は、国や地方自治体の補修補強工事や長寿命化対策工事が増加すると予想しています。そのため技術・営業体制の強化や新規分野への参入を考えていく必要があります。

より地域に根差した体制への変革を進める
 補修工学研究所を補修補強における「駆け込み寺」にしたい

 ――体制の強化とはどのような点ですか
 岸本 地域子会社(化工建設など化工グループ)の再編・強化、コンセッション案件への関与、長寿命化製品の開発などがあげられます。

 ――地域子会社の再編・強化をもう少し具体的に
 岸本 ショーボンド建設本体から化工建設への人員配置の変更、M&A、協力会社やJV相手など友好的なパートナー作りを固めていくという方法です。

 ――全都道府県に支店網を形成していたかつての姿に戻るような形ですね。少なくとも10年くらい前は、自治体が所管する橋梁の保全で困った時、ショーボンド建設に聞くという「風習」がありました。それに細やかに答えることがショーボンド建設の強みでしたが、公共事業減少下の地域優遇の強化により、支店網を大幅に減少させた経緯があります。これを戻すということですね
 岸本 それに近いものがあります。我々は保全工事に特化した会社として、規模が小さくても地方のニーズを拾い、元請、あるいは一次下請、材料供給メーカーとしてお役に立っていきたいと思いますし、それこそが当社の活路であると考えています。そうすることで、コンセッション案件や市町村の垣根を超えた広域的な発注など地方自治体の発注手法の的確な把握や、長寿命化修繕計画下で要望される製品のニーズを把握し、効率的な新製品開発につなげられると感じています。
 また、そのためにもつくば市にある当社の補修工学研究所を補修補強における「駆け込み寺」にしたいと思っています。技術的なノウハウを積極的に提供しつつ、そのフィードバックをお願いすることでさらなる技術開発を行っていくという関係性を自治体や地方の友好関係にある会社と紡いでいきたいですね。


輪荷重走行試験機も備えている

可視化工法、太陽光発電型電気防食、省力化工法を開発

 ――重点的な営業目標、製品は
 岸本 経過観察が可能な可視化工法、新分野も意識した電気防食工法、生産性向上を目的とした省力化工法、以上の3分野の開発を進めています。
 可視化工法としては、既に発表していますが、支承周りを無色透明の柔らかいゼリー状の材料で覆い防錆するクリアプロテクト工法があります。また、コンクリート構造物の剥落防止対策では現在「クリアクロス工法」を保有していますが、さらに透明度の高い対策工法を開発していく方針です。


クリアプロテクト工法

 電気防食工法としては既に「e-Sheet・NP工法」を有していますが、この発展形として太陽光発電パネルを利用した電源供給を行うことにより防食する手法を開発しました。昼間だけの太陽光発電で防食環境を維持できることが確認できており、従来製品のような外部電源の利用を必要としないため、供給ケーブルの設置及び維持管理、電力の利用コストが軽減できます。港湾や鉄道分野への適用を意識しています。


e-Sheet・NP工法

 省力化工法は、シラン系や珪酸塩系のコンクリート表面含浸材をドローンで塗布する生産性向上を目的とした「エアワーカー1号」の開発を進めています。国内においては支間長が長くピア高が高く長大な足場を必要とする橋梁において、その施工コストを縮減することができると考えています。海外では足場など現場の安全性が日本に比べてあまり芳しくありませんから、通常の現場においても地上から安全に施工でき、コンクリート構造物の長寿命化を図ることのできる工法として積極的に提案していきたいと考えています。


エアワーカー1号

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