新幹線のトンネルと近接する金谷山トンネルではミリ単位の変位計測
――トンネル掘削での困難点がありましたら教えてください
川嵜 上越高田IC~上越JCT間の金谷山トンネル(延長370m)は北陸新幹線のトンネルと交差していて、両トンネル間の交差部距離が17mと近接していました。そのため、施工時にはミリ単位の変位計測を行うとともに、北陸新幹線のトンネル側でも計測を行いながら掘削を進めました。どのトンネルも脆弱な砂岩泥岩の互層地帯を掘削することから、変位計測を行いながら慎重に施工し貫通させました。
金谷山トンネル以外の4本のトンネルでは、Ⅰ期線の工事記録に火山性のガスが噴出すると記されていましたので、ガス検知器を設置して、ガスを検知した場合には換気機能を向上させる設備対応を行いました。結果的にガスの噴出はありませんでした。
北陸新幹線のトンネルに設置された軌道変位計測機器/ガス検知器
塩害対策として亜鉛アルミ合金メッキ検査路とエポ鉄筋を採用
検査路は十分なクリアランスを確保して点検をしやすく
――事業区間全体を通して構造上でライフサイクルコスト縮減や耐久性向上を図った点は
川嵜 少数桁(2主鈑桁)を採用して部材数や塗装面積の低減をするとともに、鋼橋、コンクリート橋ともにラーメン構造とすることで下部構造の小型化と支承や伸縮装置の省略をしています。また、鋼桁の接合はⅠ期線ではボルト接合が標準的でしたが、溶接接合を標準とすることで防錆上の弱点を減らしています。さらに塩害対策では、検査路の防錆に亜鉛アルミ合金メッキを検査路が不要な1橋を除く19橋で採用するとともに、エポキシ樹脂鉄筋を全20橋で採用しました。
Ⅱ期線では溶接接合を標準とした
亜鉛アルミ合金メッキ検査路
――エポキシ樹脂鉄筋の採用箇所は
川嵜 壁高欄、PC橋柱頭部及び桁の最外縁鉄筋で採用しています。
――維持管理を行ううえで工夫された点は
川嵜 点検がしやすい検査路ということで、床版から2mのクリアランスを確保しました。Ⅰ期線では約1.6mの検査路もあり屈みながら点検をしなければなりませんでしたが、2mとすることで屈む必要がなくなります。また、Ⅰ期線とⅡ期線の渡り検査路を設置して、点検業務の効率化も図っています。
床版から2mのクリアランスを確保した検査路(右)
Ⅰ期線とⅡ期線の渡り検査路
――ありがとうございました
(2018年10月26日掲載 大柴功治)