新たに道路局長に就任した池田豊人氏が、10月4日、国土交通省専門紙記者会の合同記者会見に応じた。その内容からは道路整備こそが国際競争力を高めるという強い矜持が窺えた。その内容について道路関係を抜粋したものを報じる。(井手迫瑞樹)
皆で道路ネットワーク・構造を考えていく
――就任の抱負から
池田局長 (旧建設省に)入省してから30年ほどが経ちましたが、最初の10年は地図や図面を見ながら仕事する機会が非常に多かったように思えます。その後の20年は、ちょうど道路行政のニーズが多様化してきたこともあり、地図や図面から離れた仕事をたくさんこなしてきたように思えます。典型的な例でいえば環境アセスメント、事業評価の厳格化などがあります。その代償として、しかし国土づくりのグランドデザインやそれを支える道路ネットワークをどう考えるか、あるいは個別具体に道路を作る時に、どんな道路構造が良いのか、などを考える力が弱まってきたということがあるように思えます。これからはもう一度世界に対抗していける強い日本を作るには、どのような道路ネットワーク・構造が良いのか、改めてみんなで考えていくようなことができればよいと思います。
――重要物流道路の創設を契機とした新たな広域道路交通計画について
池田 インターネットを介したショッピングが益々増えている今、物流はこれまで以上に重要になっています。日本も高速道路網は漸く整ってきており、内陸においても企業などの立地が進み、昔は通らなかった地域にトラックが通るようになってきています。これまで幹線道路の機能は高速道路であったり、1桁、2桁の直轄国道が担ってきているわけですが、今一度、現状の物流の流れを視て、必要であればネットワークとしての追加もいるでしょうし、JCTやIC、車線の問題(暫定2車線)とか、単に延長的な追加ということではなくて、既存ネットワークの強化も含め、「重要物流道路」という中で、まとめていきたいと考えています。
4車線化は優先順位をつけてスピードを上げて事業を進める
――暫定2車線の解消など高速道路における安全・安心計画について
池田 暫定2車線の高速道路の問題は3点あります。まず、対面通行であるため重大事故が起きやすい点です。2つ目は雪害や各種災害、事故などが生じた場合すぐに通行止めになってしまう点です。3つ目は渋滞が起きやすいという点です。
4車線化事業例①信越自動車道(井手迫瑞樹撮影)
4車線化事業例②長崎自動車道(大柴功治撮影)
7月の西日本豪雨で、高知自動車道の一部区間において、上り車線が橋梁も巻きこみ崩落してしまったわけですが、4車線化しており下り車線が生きていた結果、崩落した区間は暫定的に2車線対面運用ではありますが、わずか1週間で復旧することができました。4車線以上なければできなかったことです。経済的活動や防災の面も含めて4車線化を進めていくことは重要です。今後は優先順位を精査していかなくてはなりませんし、(高速道路4車線化)全体のスピードも上げていく必要があると考えています。そのためにもこれから「高速道路安全・安心計画」をまとめていきます。
崩落した高知道の立川橋(NEXCO西日本発表資料より抜粋)