苫小牧中央IC(仮称)を苫小牧西ICと苫小牧東IC間に整備
札樽道で2件のIC改築事業
――支社管内でほかに進捗中の事業がありましたら教えてください
松本 北海道内の高速道路の建設事業としては、余市IC~小樽JCT間がNEXCO担当区間の最後のものとなります。そのほかでは、ICの追加と改築事業を進めています。
追加ICとなる道央道の苫小牧中央IC(仮称)は、北海道が事業主体として整備する地域活性化IC事業で、工事をNEXCOと北海道で分担しています。苫小牧地区には苫小牧西ICと苫小牧東ICがありますが、IC間距離が17kmと長いことと、苫小牧の中心部にアクセスしづらく不便でした。これらの解消と、地域経済の活性化、観光振興、苫小牧港のさらなる物流の効率化を目的としています。先行して北海道担当のランプ部の土木工事が開始されていて、NEXCO担当の土木工事でも準備工に着手しています。構造物ではランプ橋があり、橋長42mの複合ポータルラーメン橋で計画されています。ICの完成予定は平成32年度です。
IC改築事業は2箇所で進めています。札樽道の手稲ICは、札幌方面からのOFFランプと札幌方面へのONランプのハーフICでしたが、小樽の観光開発にともない小樽方向への需要が高まったことから、小樽方面へのONランプを整備します。札幌市と共同で事業を進めており、現在、切土工事を行っています。
手稲IC 設計概要図
もうひとつのIC改築事業は、札樽道の銭函ICです。平面交差をともなう平面Y型で供用していましたが、交通量が増えてきましたので安全性と利便性の確保の点から、トランペット型に改良します。本線下にボックスカルバートを新設するため、上り線と下り線に分けて対面通行規制を行い、半分ずつプレキャストボックスを埋設します。上り線側の対面通行規制での工事は7月16日に完了し、下り線側の対面通行での工事を8月29日から行う予定です。
銭函IC 設計概要図
今秋は勇払川橋(下り線)で床版取替
工期短縮と維持耐久性の点からプレキャスト壁高欄を採用
――大規模更新事業の実績と計画は
松本 北海道支社における大規模更新事業については、現在は床版取替工事のみが進捗しており、5件8橋を契約しています。札樽道の大野橋(上り線、下り線)、道央道の島松川橋(上り線)、高丘橋(下り線)は施工が完了しました。今秋は、道央道の勇払川橋(下り線)を施工予定です。勇払川橋(上り線)と道央道の千歳川大橋(下り線)、夕張川橋(下り線)は平成31年度以降の施工予定となっています。大野橋、島松川橋はドーピー建設工業、高丘橋、勇払川橋、千歳川大橋、夕張川橋は日本高圧コンクリートの施工となります。
床版取替工事一覧表
大野橋(上り線)の床版取替/島松川橋(上り線)の床版取替(当サイト既掲載)
勇払川橋/千歳川大橋
――夕張川橋(下り線)は床版取替面積が約8,350㎡と大きいですが
松本 江別東IC~岩見沢IC間にある橋長701.2mの橋梁です。橋梁形式は、鋼単純合成鈑桁(A1~P1、41.8m)+鋼4径間連続非合成鈑桁(P1~P5、230.4m)+鋼3径間連続非合成鈑桁×2(P5~P8、183.2m/P8~P11、172.1m)+鋼単純非合成鈑桁(P11~P12、45.1m)+鋼単純合成鈑桁(P12~A2、28.6m)で、供用後34年が経過しています。床版取替対象はA1~A2までの6連すべてとなり、取替面積が大きくなっています。
夕張川橋
今年4月に契約を行って詳細設計を進めています。A1~P1とP12~A2の側径間となる連が合成鈑桁となっているため、桁補強をどのように行うか詳細設計のなかで検討をしています。
――大規模更新事業を進めていくにあたり、今後のお考えを聞かせてください
松本 更新対象となるものを洗い出して、計画的に事業を行っていきますが、例えば橋梁であれば床版の損傷度合いを調査していくと、更新対象になる橋梁がもう少し増えそうだということが見えてきました。そのため、全体計画をスケジュールや事業規模の点から精緻化するとともに、スピードアップを図っていかなければならないと考えています。
大規模工事になると通行止めや交通規制をともないますので、お客様に迷惑をかけないようにしなければなりません。とくに札幌近郊は、断面交通量が約5万台と非常に多いので、交通規制や施工の方法を検討する必要があります。また、これまでのように上り線もしくは下り線を通行止めにして施工することが難しい場所も出てくると思います。そうした場合の施工計画を今年度中にまとめていきたいと考えています。
――島松川橋ではロードジッパーシステムを用いて車線運用切替規制を実施しました。その知見も生かしていくのでしょうか
松本 そうですね。札幌JCT~札幌南IC間は供用後約30年が経過して、床版もかなり損傷しています。しかし、幅員の狭い橋梁となるので島松川橋のように3車線確保ができません。どのように施工するのかが重要な課題となっています。
――大野橋でも島松川橋でもプレキャスト壁高欄を採用しています。その理由は
松本 交通規制期間を短くする(工期短縮)ためと維持耐久性の点から、基本的にはプレキャスト壁高欄を採用していきます。維持耐久性に優れ、防護柵の衝突安全性の基準を満たすのであれば、形式は問いません。大野橋、島松川橋ではDAK式プレキャスト壁高欄を、高丘橋ではEMC壁高欄を採用しました。勇払川橋、千歳川橋でもEMC壁高欄を採用予定です。
高丘橋(下り線)でのEMC壁高欄施工
――大規模修繕事業については
松本 床版の劣化の度合いによっては、高性能防水工でやり直すことが必要になります。床版取替工事とあわせて防水工も実施していますが、場所を選定したうえで交通規制のやり方を工夫しながら実施していかなければならないと考えています。
――床版防水工以外の大規模修繕は
松本 土工関係については現在、地下水の状況などを確認しながら、調査箇所と対策工の検討を行っています。通常の保全工事となりますが、切土のり面の排水溝の断面が昔のタイプで24cm幅と小さいところは順次、30cm幅への取替えを行っています。