中部横断道・トンネルの掘削が難航
上路式トラス橋となる法洗沢川橋
――中部横断道は
丹羽 上信越道佐久小諸JCTと新東名高速道路新清水JCTを結ぶ延長約132kmの高速道路となります。現在、約48km(約36%)が開通済みです。八千穂高原ICから中央道長坂JCT(仮称)までは基本計画区間となっており、環境影響評価に向けた準備を進めています。事業中区間は、新東名高速道路新清水JCTから六郷ICまでの49.3kmで、新清水JCT~富沢IC間(21km)がNEXCO中日本による施工、富沢IC~六郷IC間が直轄事業です。
中部横断道概要図
富沢IC~六郷IC間は富士川沿いの急峻な地形でJR身延線と近接している部分があり、トンネルと橋梁が連続しています。トンネルが19本、橋梁が41橋あり、構造物比率ではトンネル部約53%、橋梁部約22%と、合計約75%がトンネルと橋梁という構造物中心の区間となります。トンネルは下八木沢第一トンネル(延長399m)の1本を残して貫通済みで、設備工事などを行っています。
トンネル部は掘削の際、急激に細かく砕け膨張する性質を持つ特殊な泥岩が広く分布しています。それらの地盤の脆い箇所では、トンネル掘削面の崩落や地盤の膨張による断面変形が生じるなどの事象が発生したことから、支保構造変更、補助工法の追加などを実施しながら安全に施工した結果、工事工程に遅れが生じています。
また、掘削土には自然由来の重金属(セレン等)を含む土砂が発生したことから、封じ込め盛土により安全な処理を実施しているところです。
橋梁部は、工事現場に出入りできる場所が限られているうえに、トンネルと橋梁が連続しているためにトンネル工事が終わらないと上部工の工事ができないところがありました。現在、トンネル工事が終わりつつあるので、上部工工事を順次発注している段階です。今年度中に残りの橋梁14件を発注する予定になっています。
特徴ある橋梁としては、法洗沢川橋があります。橋長86mの鋼単純トラス橋ですが、上路式となっています。ケーブルエレクション工法での架設を行いますが、下路式よりも上路式のほうがケーブルの高さを抑えられて、コストが安くなることから採用しました。また、橋梁下が河川ではなく沢なので、上路式とすることができました。
法洗沢川橋上部工概要図
――東関道水戸線は
丹羽 鉾田IC~茨城空港北IC間が2月に開通し、未開通区間である潮来IC~鉾田IC間の30.9kmを整備しています。用地取得を進めながら、2015年度から工事に着手しています。大半の区間が盛土・切土構造ですが、潮来IC側に約1.1kmの連続高架橋があります。
東関道水戸線概要図
――新大宮上尾道路は
丹羽 高速埼玉大宮線の北への延伸事業で、与野JCTから上尾南出入口(仮称)までの延長8kmとなります。全線高架構造ですが、下を走る国道17号新大宮バイパスの幅員が計画よりも狭くなっているため、両側を約3mずつ用地取得する必要があります。そのため、工事着手には時間がかかります。
新大宮上尾道路概要図
発注予定および施工中の橋梁下部工一覧(橋長100m以上)
発注予定および施工中の橋梁上部工一覧(橋長100m以上)