橋梁2,779橋、トンネル18箇所を管理
供用後50年以上経過の橋梁は全体の22%
――保全について、まずは全体方針を教えてください
富永 本県の橋梁やトンネルなどの道路構造物は、高度経済成長期に供用が開始されたものが多い状況です。今後、急速に老朽化が進み、維持管理費および更新費の急激な増加が見込まれていることから、橋梁について長寿命化修繕計画を策定し、計画的に維持修繕を実施しています。
また、平成24年度策定の「復興みちづくりアクションプラン」に基づき、緊急輸送道路ネットワークの重要度に応じて整備計画期間を短期(~2015年度)、中期(~2020年度)、長期(2021年度~)に分けて、橋梁の耐震補強などの工事を実施しています。
復興みちづくりアクションプランの事業内容
――管理橋梁の内訳は
富永 2,779橋(平成29年6月時点)の県管理橋梁を橋種別にみると、RC橋が1,453橋(52%)と半数以上を占めており、PC橋が835橋(30%)、鋼橋が439橋(16%)、その他が52橋(2%)となっています。
供用年次別では、供用後30年以内の橋梁が690橋(25%)、供用後30年から50年経過の橋梁が1,118橋(40%)、50年以上経過の橋梁が598橋(22%)、供用年次が不明な橋梁は373橋となっています。今後20年で50年を経過する橋梁が約7割に達します。
延長別では、橋長15m未満が約6割(1,763橋)、橋長15m以上100m未満が約3割(781橋)、100m以上の長大橋が1割弱(235橋)です。路線別では、県管理国道が639橋(23%)、主要地方道が1,205橋(43%)、一般県道が935橋(34%)となっています。
――トンネルの内訳は
富永 県が管理するトンネル18箇所のうち、工種別ではNATMが10箇所、矢板工法が2箇所、開削工法などが6箇所となっています。供用年次別では、供用後30年以内のトンネルが16箇所となっており、供用後30年以上経過したトンネルは2箇所(全体の約1割)です。延長別では、100m以上1,000m未満が16箇所で全体の約9割を占めており、1,000m以上のトンネルは1箇所のみです。路線別では、県管理国道が7箇所、主要地方道が8箇所、一般県道が3箇所となっています。
予防保全段階の橋梁が6割以上を占める
早期措置が必要な橋梁は4.1%
――過去3年間の橋梁点検結果およびトンネルの点検結果は
富永 橋梁では、予防保全段階である判定区分Ⅱが1,250橋(64.1%)と6割以上を占めており、早期措置が必要な判定区分Ⅲが80橋(4.1%)、緊急措置が必要な判定区分Ⅳが1橋となっています。判定区分Ⅳの1橋は、橋長の短いRC橋で下部工に大きなクラック貫通が発生していたため、平成28年度にボックスカルバートへの架け替えを行っています。
平成26年の道路法改正後のトンネル点検については、平成29年度と平成30年度の2カ年で実施する予定です。
――点検を進めてみての全般的な劣化状況は
富永 部位ごとの損傷としては、主桁には腐食やひび割れ、剥離・鉄筋露出が多く見られます。床版や下部工には、ひび割れが非常に多く、剥離・鉄筋露出も多く見られます。鋼製支承には腐食が多く見られ、これは伸縮装置からの漏水などによるものと考えられます。
トンネルは、点検を開始したところであり、詳細な分析はこれからになりますが、比較的新しいトンネルが多いこともあり、現時点で大きな損傷はありません。
――耐震補強の進捗状況は
富永 平成28年度末で対策橋梁248橋のうち、188橋で耐震性能2を満足する形での対策が完了しています。平成29年度は、県道野田牛久線上岩崎橋など8橋の耐震化が完了する予定であり、残りの対策橋梁は52橋となります。残る52橋のうち、復興みちづくりアクションプランに位置づけられている33橋について最優先で対策を進めているところであり、2020年度までの完了を目指しています。平成30年度は、水戸鉾田佐原線涸沼橋など12橋で対策工事を実施する予定です。
耐震補強事例 野田牛久線上岩崎橋下部工(左/施工前・右/施工後)
――ロッキングピアは
富永 本県管理橋梁にロッキングピアはありません。