独自技術での補修・補強工事で高い収益性を確保
極東興和社長インタビュー 技術で社会に貢献する企業に
極東興和株式会社
代表取締役社長
藤田 公康 氏
歌高架橋と小田第1・第2高架橋の工事でi-Bridgeを推進
大阪府発注の補強工事でK-PREX工法初適用
――新設事業は
藤田 新設工事では省力化が必要になってきますので、i-Bridgeの推進に取り組んでいます。新潟県糸魚川市にある国道8号の歌高架橋では、損傷が発生していた現橋の架け替え工事を行い、PC5径間連結中空床版橋×2(橋長165.0m+145.0m)の架設を昨年6月から今年3月までの9カ月間で完了しています。構造はプレキャストセグメント方式で、架設工法は技術提案を行い、抱き込み式二組桁架設+自走式二組門構(ガントリークレーン)併用で施工しました。これにより、短工期、省力化を実現しています。北陸地方整備局は最近、5件のWTO工事を発注していますが、そのうちの3件を弊社が受注しました。金額ではなく技術提案力が評価されていると考えています。
歌高架橋
また、中国地方整備局の多伎朝山道路小田第1・第2高架橋工事はCIM適用工事として発注されましたが、3次元データを活用して工法と組み合わせることで技術提案を行い、受注をしました。
小田第1高架橋
小田第1高架橋でのCIM適用
――補修・補強事業は
藤田 通常の補修・補強工事は浜名大橋や首都高速道路など、数多く施工しています。独自技術のマイクロパイル工法では菅生市橋耐震補強工事(岩手県)や安中央橋補強工事(広島県)など、K-LIP工法では東宮新橋補修工事(山形県)、山内高架橋ASR対策工事(佐賀県)などがあります。
浜名大橋補修工事
(左)マイクロパイル工法 菅生市橋耐震補強工事
(右)K-LIP工法 山内高架橋ASR対策工事
独自技術として次の柱としていきたいのが、K-PREX工法です。ケーソン基礎やフーチングの耐震補強をはじめとしたさまざまな適用が考えられます。大阪府発注の助松橋耐震補強工事が初めての事例で、既設橋台と増しフーチングの結合にK-PREX工法を適用し、緊張力を働かせて圧着させました。
K-PREX工法概要
K-PREX工法適用事例 助松橋耐震補強工事
55歳以上の技術者を常時募集して大規模事業の技術者不足を補う
――事業展開のなかで、社内体制で手を打たれていることはありますでしょうか
藤田 K-LIP工法やマイクロパイル工法などの弊社独自の補修・補強工事では、これまで若い技術者を現場につけていましたが、そうすると新設や大規模事業に携わる技術者が足りなくなります。そこでACE(Advanced Civil Engineer)という制度をつくり、55歳以上の技術者の方を常時募集しています。地方のゼネコンで景気の悪いところはたくさんありますし、広島に戻りたいという技術者の方もいます。現在、そのACE部隊が約30名になりました。ACE部隊に利益率の高い補修・補強工事現場に行ってもらい、若い技術者を新設や大規模事業の現場につけて、入札から携わることができるようにしています。その結果、今年10月時点で手持ち高が300億円を超えていて、受注が右肩上がりで増えてきています。
――ACE制度はいつから
藤田 3年目になります。ACEの多くは一般土木技術者ですから、助かる面もあります。弊社はコンクリート構造物のみですが、NEXCOでもJRTTでも橋梁に加えて土工施工をする案件が出てきていますので、その現場に喜んで行ってくれます。
――ACE部隊の拡充予定は
藤田 最初はひとりふたりでしたが、現在は採用を増やしていて、今後も増やす予定です。原則、期間雇用社員で年度ごとに契約更新をしますが、正社員化の道も準備をしたうえで、募集をしています。
――ACE以外での担い手確保の取り組みや、働き方改革ついてはいかがでしょうか
藤田 先にあげた共同研究を行っている大学からの新卒採用のほか、支店長が各大学に出向いての会社説明会を継続して行っています。また、支店での説明会も随時開催しています。
働き方改革では週休2日制モデル工事に3件参加していますが、会社としても残業時間の削減や週休2日制の実現にむけて検討をしています。社員ひとりずつの残業時間を経営会議ごとに提出してもらっていますので、受注案件別の細分化はできています。
現在の社員数は311名で、女性社員30名のうち技術者は6名、来春には3名が入社予定です。働きやすい職場づくりの一環として、男性社員にも育休をきちんと取らせています。また、待機児童の問題も会社として協力して個別に判断しています。このような取り組みから、広島労働局から管内の建設業では初めて子育てサポート企業として認定されました。
――ありがとうございました
(2017年12月20日掲載)