独自技術での補修・補強工事で高い収益性を確保
極東興和社長インタビュー 技術で社会に貢献する企業に
極東興和株式会社
代表取締役社長
藤田 公康 氏
床版取替工事2件とJVでの大型工事受注が最高益に貢献
補修・補強工事の売上比率は16.9%
――業績について教えてください
藤田 昨年度の総売上高は約169億円で、純利益とともに過去最高となりました。平成27年度は約146億円、平成26年度は約152億円で、今期9月までの第2四半期も総売上高、純利益が過去最高となっています。
――過去最高益の要因は
藤田 受注の効率がよくなっていることです。単独で床版取替工事をこの2年で2件受注したことに加え、ゼネコンとのJVで大型工事を受注しています。JVでの大型工事は利益率が高くなくても工期が長いので、安定的に売上に寄与します。具体的な事業では、工期7年の新名神高速道路の淀川橋、工期3年の新東名高速道路のぐみ沢下高架橋・杉名沢高架橋、工期3年の北陸新幹線の深山トンネルがあります。それに、3カ月程度で完了する利益率の高い補修・補強工事が好回転して、うまく重なりました。
――総売上高に占める補修・補強工事売上の割合は
藤田 昨年度は16.9%、平成27年度は19.6%、平成26年度は18.7%です。プレストレスト・コンクリート建設業協会(PC建協)の調査によると、平成28年度3月期の補修・補強工事の割合は全受注金額のうち13.3%ですので、それよりは多少比率が高くなっています。
――補修・補強工事の利益率が高い理由は
藤田 一般の補修・補強工事はそれほど利益率が高くありませんが、K-LIP工法とマイクロパイル工法の利益率が高くなっています。K-LIP工法が約5億、マイクロパイル工法が約15億の売上高で合計約20億円ですが、現場を担当する工事職員一人あたりの利益、つまり労働生産性が極めて高いのが特徴です。さらに、毎年約20%の売上高の伸びがあり、これにK-PREX工法などが加わりますので、さらなる成長を期待できます。
――全体での利益率は
藤田 受注者別の利益率では国土交通省案件が高くなっています。また、独自技術で補修工事を行っている民間案件も高い利益率となっています。これまでNEXCOとJRTTが課題でしたが、今年に入って積算条件が良くなってきますから、改善が期待できます。
広島南道路添加歩道橋・西側高架橋
土木学会 田中賞 受賞/土木学会デザイン賞2016最優秀賞 受賞
中国道をはじめ、PC床版供給で優位に立つ工場配置
――今後の見通しについて教えてください
藤田 PC建協の調査でも年間受注額が2期連続で3,000億円を突破しましたが、新設工事の急激な伸びは今後あまり期待できませんので、補修・補強工事へのシフトを進めていきたいと思います。床版取替工事はNEXCOが大規模更事業として行っていますが、15年間で最初の5年間が2割、その後4割ずつの割合で発注されるといわれています。東京オリンピックが終われば、工事量は倍になりますので可能性はあると考えています。
――現段階での大規模更新事業への対応は
藤田 中国自動車道の溶谷橋(上下線)、山田橋(上り線)、下九田川橋(上り線)の床版取替工事を受注し、施工しました。中国自動車道は凍結防止剤散布の影響で損傷が激しい床版が多くなっていますが、その近くのPC工場は弊社の江津工場とグループ会社キョクトウ高宮の高宮工場のみです。その点は強みであると考えています。
山田橋床版取替工事
弊社とグループ会社のPC工場は、先のふたつと静岡工場、大分工場、宮城の亘理工場(東日本コンクリート)です。静岡工場は掛川市近くにあり、東名高速道路のほぼ中間地点に位置しているので、東名高速道路の大規模更新事業が始まれば、重要性は高まります。また、静岡工場は東海道新幹線枕木交換工事の供給基地となっており、当初の計画ではあと2年間で完了する予定でしたが、需要増加によりさらに7年間延びました。そのため、PC床版の生産量増加を見据え、現在設備投資を実施中です。江津、高宮、大分の一部でも今後の需要増を見込んで増設を行いました。
静岡工場外観
PC床版の供給では宮城の亘理工場が東北エリアを、大分工場が九州エリアをカバーしていますので、北海道を除くすべてのエリアをカバーできる工場配置は、今後の大規模更新事業において優位に立っていると思います。
グループ工場配置図