管内は119橋、11トンネルを管理
――次に保全分野について聞きます。まず管内橋梁とトンネルの内訳は
石井 橋梁は119橋で、鋼橋が61橋(51%)、PC橋49橋(41%)、RC橋2橋(2%)、PC/RC混合橋2橋(2%)、PC/鋼混合橋5橋(4%)となります。
供用年次別では50年以上が23橋(19%)で、10年後に50年を経過するものが60橋(50%)、20年後には81橋(68%)となります。延長別では、最も長い橋梁が4号の油井高架橋の801.4mで、10m~30m未満が多く53橋(45%)となっています。
管内の構造別内訳、橋種別内訳、トンネルの工法種別内訳
橋梁・トンネルの建設年次別内訳/同延長別内訳
トンネルは11箇所で、矢板工法が10箇所(91%)となっています。1960年代に建設されたトンネルが7箇所と一番多くなっています。最も長いトンネルが13号の西栗子トンネルの2,675mで、700m~800m未満が4箇所(36%)となっています。
――点検を進めてみての劣化状況は
石井 28年度末の診断結果ですが、C1判定が41橋(34%)、C2判定が22橋(18%)であわせて63橋となり、全体の約半分がC判定になっています。鋼橋とコンクリート橋をあわせた119橋に対しての数字となります。
橋種別では、C判定が鋼橋38橋で約6割、コンクリート橋20橋で約4割です。凍結抑制剤を冬に撒いていますので、その漏水、主桁への付着からの腐食と、主桁、とくに桁端の損傷が大きくなっています。損傷内容は、水回りを中心とした腐食が多くなっています。
管内橋梁の損傷状況
損傷状況詳細
管内橋梁の損傷例
トンネルについては、11箇所全て国道13号上にあります。そのうち7箇所は山形県境側の山岳部、昔、萬世大路と呼ばれた区間にあり、信夫山はJR福島駅の北側にあります。信夫山新歩道トンネルを除きすべて在来矢板工法で建設されており、老朽化による損傷が目立ってきています(健全性Ⅲが9トンネル)。各トンネルについて過去に各種の補修を行っていますが、以前の補修箇所や漏水対策箇所にモルタルの浮きや漏水などの損傷が見られています。
管内トンネル一覧(※11月4日に開通した東北中央道は含まず)
管内トンネルの損傷状況
――この写真をみると目地部の損傷ですか
石井 そうです。
トンネルの損傷状況例
――トンネルで一番怖いのは道路軸方向ですが、そのような損傷は
石井 まったくないとは言えませんが、やはり目地部の損傷が多いです。
――コールドジョイント化しているような損傷も見られますね
石井 そうした個所もあります。設計を今年度に行い、来年度から補修工事に入る予定です。優先順位を含めて今から検討する状況です。
――耐震補強の状況は
石井 耐震性能2が110橋、3が8橋、未対策の橋が1橋となっています。未対策の橋は側歩道橋で、本線橋を優先的に進めています。
――2が110橋あるのはすごいですね
石井 はい。3の8橋についても2にあげるための工事を引き続き行っていて、昨年度と今年度で各1橋となっています。
――国の方針を先取りしていますね。他では3が多くて、2が少なく、それをなんとか上げようという状態ですが
石井 先輩方が計画的に進めてきた結果だと思いますし、当事務所の管理延長が94kmとあまり長くないこともあると思います。落橋防止については48橋すべて必要な箇所は完了しています。
――熊本地震で落橋を起こしたロッキングピア形式の橋脚はありますか
石井 管内にはありません。