道路構造物ジャーナルNET

鉄道・道路が寸断される中、いち早く応急復旧にこぎつける

NEXCO東日本北海道支社 リダンダンシーを見事に発揮した道東自動車道

東日本高速道路
北海道支社
道路事業部長

加納 正志

公開日:2017.05.31

札樽道は一部が供用から46年経過
 構造物は橋梁が78.8km、トンネルが65.1km

 ――次に管内の所管地域の構造物の管理状況について
 加納 当支社の営業延長は高速・一般有料道路合計で696.3kmです。平均供用期間は20年程度ですが、札樽道の小樽IC~札幌西ICおよび北広島IC~千歳ICは札幌冬季五輪時に造った構造物であり、供用から46年を経過しています。現在、喫緊の耐震課題になっているロッキングピアもこうした路線に集中しています。



ロッキングピアを要する橋脚(撮影協力:清都一章 氏

 橋梁の構成比は下り線で鋼橋が32.6km、PC橋が30.9km、RCが15.3km、合計78.8kmとなっています。
 トンネルは約65.1kmとなっています。そのうち在来矢板工法が6トンネル12チューブ(上下線)、距離にして6.3kmあります。これは小樽~札幌西間に3トンネル6チューブ(上下線)、白老IC~苫小牧西IC間が2トンネル4チューブ(上下線)、登別東IC~白老IC間が1本2チューブとなっています。それ以外はNATM工法(上下線で43チューブ、58.9km)で建設しています。
 ―――耐震補強の進捗状況は
 加納 昭和54年以前の道路橋示方書で耐震補強が必要な橋梁については、平成22年度までに全て完了しています。
 工種的に言いますと、92%がRC巻き立て補強、2%が鋼板巻き立て、6%が炭素繊維シート補強をそれぞれ採用しています。
 落橋防止装置も平成22年までに完了しています。
 ―――支承取替の今年度計画は
 加納 今年度は予定していません。

ロッキングピアは全部で15橋
 補強方法は検討中、今年度設計、来年度施工へ

 ――ロッキングピアやロッカーピアの耐震補強については
 加納 ロッキングピアは本線橋(桜森橋(恵庭IC~北広島IC間)上下線)で2橋、ランプ橋で4橋、OV橋では、札幌管理事務所が所管する千歳~広島北の区間に8橋、岩見沢管理事務所が所管している1橋の合計9橋です。ロッカーピアは当支社管内にはありません。
 橋梁によっては補強を行うことで下部や基礎を大きくせざるを得ない可能性もゼロではありません。そうするとOVの下部工を橋軸方向に延伸すると高速道路の建築限界を侵すので広げられませんから、橋軸直角方向に伸ばしていくしかありません。
 現時点では、設計しながら、それぞれの橋に応じた対策方法を考えていくしかありません。基本的には今年度設計に着手し、来年度以降に耐震補強の施工を予定しています。

長大・特殊橋の耐震対策 メップ川橋で検討を予定
 塩害は全線で発生 漏水が原因

 ――長大・特殊橋の耐震補強について施策は
 加納 現状で新たに取り組むことは考えていません。
 熊本地震で損傷を受けた橋梁があると聞いておりますので、何か耐震補強が必要になるかもしれません。今回の熊本地震では、並柳橋の鋼トラスと鋼鈑桁の掛け違い部で損傷が出ていると聞いておりますので、原因や対策等に関する調査報告を見て同様の構造については対応を考えることになると思います。
 当支社管内で並柳橋と同様の形式の例としてはメップ川橋があります。また、当支社管内で特殊橋梁と呼ばれる形式では、単弦ローゼとトラスが該当すると思います。


メップ川橋。鋼トラス橋が特徴的だが、鈑桁との架け違い部がある

同橋図面

 ――単径間であれば問題ないと思いますが、鈑桁などとの架け違い部や、箱桁と鈑桁あるいは鋼桁とPC桁の架け違い部では、衝突や重い方に引きずられて桁がずれたり、最悪は落橋するなどの危険が指摘されています。この点はどう考えますか
 加納 鋼トラスと鈑桁との架け違いは先ほどお話しましたメップ川橋(555m、白老~登別IC間)などが該当します(左表は同郷の橋梁概要)。
 大分の並柳橋の調査報告や今後の耐震補強の方針等を踏まえて、耐震補強が必要となった場合は、検討を行っていくことになると思います。

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