「収益拡大で社員にやりがいと夢を」
IIS新社長インタビュー ICT化や受注拡大で橋梁国内トップを目指す
株式会社IHIインフラシステム
代表取締役社長
川上 剛司 氏
関連会社も含めた1000億円規模の事業モデル構築へ
――現在の業績状況と今後についていかがお考えですか
川上 昨年度の売上高総額は427億円、国内橋梁が227億円で、水門が60億円、制振装置や合成床版、裏面吸音板などを取り扱うエンジニアリングが25億円となりました。当社は海外部門の占める割合が同業他社と比べて大きいですが、昨年度はイズミット湾横断橋の売上高が94億円、それ以外の工事で21億円の合計115億円となっています。
今年度は国内橋梁で300億円、水門で90億円、エンジニアリングで20億円、海外は50億円ほどを計画しています。
しかし、今後の目標とする事業規模は橋梁の新設と大規模修繕、更新工事などを入れて340億円、水門が70億円、開発製品で20億円、海外向けが170億円で合計600億円を予定しています。関連会社も入れたビジネスユニットとしてはIIKが230億円で合計800億円を2019年度までに達成したいですね。将来的には、全体のビジネスユニットで1000億円を目指します。
――今後の海外展開ついてはいかがですか
川上 イズミット湾横断橋の架設工事では、EPC(Engineering,Procurement and Construction=設計、製作、建設工事を含む一連の工程を請け負うこと)契約で、上下部工の設計から施工まで一括で請け負いました。海外では今後もEPC工事に取り組んでいきます。
海外のインフラ整備では、工事から運営まで一括で請け負うコンセッション方式の受注が中心となっています。これには、資金力が必要なので、当社としては、IHIと協力してプロジェクトファイナンスを使ってオペレーション・メンテナンスまで実施するコンセッション事業に挑戦しています。
今後、日本政府が「質の高いインフラ輸出」を推進し、5年間で約20兆円規模の海外投資をしていくなかで、ファイナンスも含めた受注形態にも取り組んでいきたいです。全体的には、欧州と米国、アジアの3拠点に加え、アフリカでも市場開拓を進め、海外で橋梁・道路建設事業を展開していきます。
現在進行中の工事では、鋼橋ではトルコやベトナム、インドのほか、バングラデシュ、PC橋ではミャンマーの工事、水門ではラオスの工事があります。
アジアではベトナム(IIA)やミャンマー(I&H)の工場を活用して周辺国の工事受注活動も展開していきます。欧州では、長年橋梁事業に関わってきたトルコや新たな地域として北欧において長大橋梁建設の受注活動を展開していきます。米国は欧米企業との提携やM&Aでの事業展開を視野に入れています。