道路構造物ジャーナルNET

北西線も2020年東京オリンピック・パラリンピック開催までに開通目指す

首都高速道路 横浜北線がついに開通

首都高速道路株式会社
神奈川建設局長

寺山 徹

公開日:2017.03.31

 首都高速道路は、3月18日16時に横浜北線の供用を開始した。同線は、生麦JCT付近の複雑な構造物、JRの東海道本線や東海道新幹線、京浜急行電鉄などを跨ぐ高架の建設、延長5.9kmの横浜北トンネル、土木学会田中賞を受賞した大熊川トラス橋など多様な構造物を厳しい条件下で施工した。今後は北西線の建設を進めていくが、これも東京オリンピック・パラリンピック開催前の供用というミッションが与えられている。横浜北線の工事を振り返ってもらうとともに、北西線の今後の進め方について寺山徹・神奈川建設局長に詳細を聞いた。(井手迫瑞樹)

横浜北線 横羽線と第三京浜結ぶ延長8.2km
出入口は3箇所 アクセス道路も整備済み

 ――横浜北線の路線概要からお聞かせ下さい
 寺山局長 横浜北線は首都高速道路神奈川1号横羽線と第三京浜道路を結ぶ延長8.2kmの路線で2017年3月18日16時に開通しました。出入口は岸谷生麦出入口、馬場出入口、新横浜出入口の3箇所となっています。出入口ができると同時にそこに集中してくる交通量を捌くため、連絡道路として横浜市が新設街路を整備されたり、既存道路の拡幅を行ったりしています。例えば岸谷生麦出入口の周りには、市道岸谷生麦線という街路を建設しており、北線開通2日前の3月16日に開通されました。中央にある馬場出入口は2019年度の開通を目指し、引き続き工事を進めてまいります。ここに関しても大田神奈川線という既存街路を、馬場出入口供用前後に片側2車線へと拡幅する予定です。新横浜出入口についても関連街路として長島大竹線(延長620m、幅員23m)を新しく整備しており3月16日に開通されました。
 なお第三京浜と繋がる部分(横浜港北JCT)には北線供用時に北線へ乗り降りする出入口はありません。横羽線から新横浜付近にアクセスするには新横浜出口で降りる必要があり、新横浜付近から北線に乗るには(港北の出入口は現状第三京浜のみのため)新横浜から入る必要があります。ただし将来、東名につながる北西線が開通した時には、横浜港北JCT部に北線・北西線専用の出入口を設置する予定です。
 ――次に北線の構造概要について
 寺山 横羽線も第三京浜も構造は基本的に高架形式であるため、生麦・港北とも接続部は高架構造になっています。中間部の5.9kmは、トンネル構造(横浜北トンネル)となっています。





横浜北線橋梁一覧(首都高速道路提供)

生麦JCT 4枝8連結路のJCTは首都高速道路全体で2例目
 1,250tクレーンで大ブロック桁架設

 ――個別構造を生麦JCTからお願いします
 寺山 生麦JCTのように全てが首都高の道路につながる4枝8連結路のJCTは、大橋JCT(3号渋谷線と中央環状線接続部)に次いで首都高速道路全体で2例目です。
 生麦JCTは北線が事業化した平成13年度ではもう少し大きなJCTを計画していました。事業区域でいうと44,000㎡、連結路総延長で4.9kmですが、平成19年度に都市計画変更を行い、25,000㎡、総延長2.8kmにコンパクト化しました。構造形式は下部工が門型の鋼製橋脚、上部工が鋼床版箱桁形式を多用しています。キリンビール横浜工場の敷地の一部を取得させていただき高速道路工事を進めていましたが、その敷地内で連結路や市道岸谷生麦線の橋梁工事を進める必要があるため、基礎構造は小断面のニューマチックケーソン基礎を多用しています。桁下も第一京浜国道と呼ばれる国道15号が通っていたり、旧東海道が通っていたりしますので、下から見てマッシブな印象を与えないように出来るだけすっきりとした印象となるように桁と横梁を一体化したラーメン構造を採用しています。そのため通常の横梁+支承構造に比べて桁下クリアランスは2.5mほど高くなっています。橋脚高は高いところで30m程度です。構造計画を決める最初の段階から景観アドバイザーに助言をいただいて、圧迫感を軽減しています。外から見た景観だけではなく、走行景観にも考慮し、遮音壁の形状の工夫や、外が見える窓を設けたりして、曲線でも走行し易いように配慮しています。


生麦JCT(一部)/遮音壁の形状を工夫、外が見える窓も設置(井手迫瑞樹撮影)

 生麦JCT付近は、横羽線の上を連結路や本線が何回も渡らなくてはいけないところがあるのと、キリンビール横浜工場の物流の出入口がちょうど横羽線生麦出口近傍の横浜北線連結路と輻輳する箇所にあることから、桁架設は非常に苦労しました。
 キリンビール横浜工場の物流を途絶えさせないことは絶対条件で、どうしても物流の線を横切って施工する必要がある場合、協議をしながら工場休業日時に架設を行いました。
 また、横羽線の上を架設する時には1250tクレーンを用いて大ブロック桁を架設しました。1250tクレーンは半年程度継続使用して、横羽線上だけでなく連結路周りも夜間架設を一斉に行いました。




1,250tクレーンで架設した生麦JCT付近の桁①
(首都高速道路およびMMB・日鉄トピー・駒井ハルテックJV提供)



1,250tクレーンで架設した生麦JCT付近の桁②
(首都高速道路およびMMB・日鉄トピー・駒井ハルテックJV提供)

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